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女優としても活躍するジョディ・フォスターさんの4作目の監督作「マネーモンスター」が10日から公開される。ジョージ・クルーニーさんとジュリア・ロバーツさんという屈指のスター俳優を起用し、展開の速いプロットで見せ切る。久しぶりにハリウッドらしい映画を見たという感想を抱かせる作品に仕上がっている。2人の“大物”を相手に“犯罪者”を演じるのは、アンジェリーナ・ジョリー監督作「不屈の男 アンブロークン」(2014年)などで主演し、最近、存在感を高めているジャック・オコンネルさんだ。
上場したばかりの企業の株が急落し、損失額が8億ドル(約850億円)に及んでしまう。財テク番組「マネーモンスター」でパーソナリティーを務めるリー・ゲイツ(クルーニーさん)は、生放送中の番組で、その企業の責任者に株価急落の理由のインタビューを試みる。一方、番組のコントロールルームでは、ディレクターのパティ・フェン(ロバーツさん)が、毎回、アドリブで暴走しがちなリーの言動を、冷や冷やしながら見守ってた。そこへ、配達業者を装った若い男(オコンネルさん)がスタジオに侵入。男はリーを人質に、無謀な要求を突きつける……という展開。
格差問題、金融取引の闇、ジャーナリズムの質の低下など、今どきの話題をすべて盛り込んだ社会派サスペンス劇。とはいえそこはハリウッド映画。重たく、小難しい内容ではない。クルーニーさんとロバーツさんという二大スターを起用し、娯楽作としての面白さを追求している。物語がほぼリアルタイムで進行することが、また、緊迫感を高めている。その一方で、見る者の、金に対する価値観を揺るがせ、情報に踊らされる視聴者、熱しやすく冷めやすい、社会に無関心な人々への警告もうかがえ、さすが、才媛のフォスター監督を実感させられた。10日からTOHOシネマズ日本橋(東京都中央区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションを経てフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。