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米作家エドガー・ライス・バロウズによる人気小説を映画化した「ターザン:REBORN」(デビッド・イェーツ監督)が30日に公開される。これまで幾度も映像化されてきた物語だが、今作に登場するターザンは、雄叫びを上げながらジャングルを駆け巡る野生児ではない。ロンドンで、美しい妻と裕福な暮らしを送る貴族なのだ。とはいえ“故郷”のアフリカのコンゴに戻ってからは、野生の血がよみがえり、動物と交信したり、ジャングル内を駆け巡ったりするのだが。監督は、「ハリー・ポッター」シリーズ最後の4作品(2007、08、10、11年)でメガホンをとったイェーツ監督。ターザンを演じるのは、米テレビシリーズ「トゥルーブラッド」(08~14年)や映画「メイジーの瞳」(12年)などで知られるアレクサンダー・スカルスガルドさん。ほかにマーゴット・ロビーさん、サミュエル・L・ジャクソンさん、クリストフ・ヴァルツさんらが出演している。
ジャングルで出会った美しい女性ジェーン(ロビーさん)と結婚し、今はロンドンの邸宅で暮らすジョン・クレイトン(スカルスガルドさん)。彼こそが、かつてコンゴのジャングルでゴリラに育てられたターザンだ。今では英国貴族として政府から一目置かれる存在のジョンは、ある日、外交のためにコンゴへ赴くことになる。米国から派遣されたジョージ・ワシントン・ウィリアムズ(ジャクソンさん)とコンゴへ渡ったジョンだったが、同伴したジェーンが、あるわなにかかりさらわれてしまい、彼女を救うためにジャングルに分け入っていく……というストーリー。
ターザンが貴族の出だということを、今回初めて知った。映画は、すでに英国に戻ったターザン=ジョンが、コンゴへの偵察を依頼されるところから始まる。ゴリラに育てられたとはいえ、ここでのターザンは周囲の人間と意志疎通ができ、もちろん言葉をしゃべり、普通に暮らしており、それがとても新鮮に映る。憂いをたたえた瞳が、演じるスカルスガルドさんのそれと重なり、窮屈な衣服を脱ぎ捨て露わになった肉体美には目を奪われた。ジャングル中を駆け巡るのだから、アクション映画の範疇に入ることは承知していたが、ここまで肉体アクションが見られるとは思っていなかった。
動物と会話し、自然をおそれ、敬い、勝手知ったる“我が庭”を縦横無尽に飛び回るターザン。彼にとっては重力すら味方なのだ。その“人間離れ”した動きには圧倒される。彼に必死についていくジョージに同情しながら、ひととき、共にジャングルを冒険している気分になった。なお、俳優の桐谷健太さんが、日本語吹き替え版でターザンの声を担当している。30日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほか全国で公開。 (りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションを経てフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。