「リンクルショット」について語るポーラの山口裕絵・商品企画部長
化粧品メーカー「ポーラ」は1月、シワの改善効果がある初の薬用化粧品「リンクルショット メディカル セラム」を発売した。これまで美白効果のある薬用化粧品はあったが、シワの改善効果で厚生労働省の認可を受けたのは初めてで、開発から発売まで15年を費やした“悲願”の達成だった。同社の山口裕絵・商品企画部長に「リンクルショット」の特徴と開発の舞台裏を聞いた。【猪狩淳一】
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山口さんは「シワとシミは女性最大の悩みでしたが、シワの改善については医療でしか対処できなかった。『シワの改善』を言える化粧品は悲願でした」と振り返る。その悲願に向かったのは15年前、第一歩はシワができるメカニズムの解明と有効成分「ニールワン」の開発だった。
同社の研究で、シワの部分に、白血球の一種が出す「好中球エラスターゼ」が集まっていることを発見した。「好中球エラスターゼ」は、けがなどで壊れた皮膚やコラーゲンなどを分解するもので、シワができる部分は表情の変化による折れ曲がりで、1平方㌢あたり30㌘の圧力がかかっているため、この部分が傷ついていると認識して「好中球エラスターゼ」が集まり、皮膚やコラーゲンを異常に分解してしまい、それがシワになることを突き止めた。そこから約5400種類の成分をスクリーニングして、この物質を抑制することでシワを改善する四つのアミノ酸誘導体を合成した成分を開発、「ニールワン」と名付けた。
「ニールワン」は水との相性がよく、水にすぐ反応してしまう。この特性が商品化の大きな壁となった。山口さんは「スキンケア化粧品で水を使わないものはほとんどなく、何とか水に溶かそうと必死でした」という。全国の研究者や専門機関を巡って相談したが、解決策が見つからず、出張帰りの研究員が喫茶店で注文したチョコミントアイスがアイスにチョコチップが埋め込まれているのを見て、ひらめいたのが「水を使わず、油脂の中にニールワンを点在させる」という方法だった。水分を含まないことで、肌の奥の水分と反応するために浸透しやすいという効果にもつながり、これで水を一切使用しない「リンクルショット」開発への道筋が付いた。
厚労省の認可を受ける作業がスタートした。研究データやテスターによる安全性のリポートなど膨大な資料を提出した。だが、化粧品の安全性に対する目が厳しい時代もあって、認可には実に8年の歳月を費やした。山口さんは「申請を担当した研究員は認可の報を受け、男泣きしたほどでした」という。
こうして生まれた「リンクルショット」は、「リンクル=シワ」を「ショット=狙う」という化粧品らしくないズバリのネーミングで、容器のデザインはペンをイメージした。山口さんは「シワにピンポイントで塗る機能性と効果をお約束する〝契約〟を結ぶことをイメージした」という。パッケージもあざやかなオレンジに、スペースブルーの筆記体文字でサインをしたようなデザインになっている。
山口さんは「15年の歳月は長かったけど、その分自信を持って提供できるものとなった。それをシンプルに打ち出した」といい、「3カ月以上の使用で7割がシワを改善しました。予防にも効果があり、若い女性にも訴えていきたい」と語る。同社では100億円の売り上げを目指している。
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