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佐々木希:見返りを求めず「“尽くす女”でいたい」 新春インタビュー・上

 女優の佐々木希さんが出演した映画「伊藤くん A to E」(廣木隆一監督)が12日に公開される。佐々木さんは、岡田将生さんが演じる“イタイ男”伊藤誠二郎にとっての「都合のいい女」島原智美を演じている。昨年、お笑いコンビ「アンジャッシュ」の渡部建さんと結婚した新婚の佐々木さん。ますます美しさに磨きがかかり、女性として輝きを増している。佐々木さんに今作の撮影の裏話や役柄などについて聞いた。

 ◇伊藤くんは嫌い…でも出会ってよかった

 「伊藤くん A to E」は、柚木麻子さんの同名小説(幻冬舎)が原作。落ち目のアラサー脚本家・莉桜(木村文乃さん)が「伊藤」という同じ名前の男について悩む4人の女たち(【A】~【D】)から恋愛相談を受けながら、ドラマプロデューサーの田村伸也(田中圭さん)にたきつけられて起死回生の脚本のネタにしようとたくらむ。4人の女性が語る「伊藤」は同一人物かもしれないと手応えを感じ始めた矢先、莉桜の思惑は打ち砕かれる……というストーリー。2017年8月からドラマがMBS・TBSで放送され、4人の女性と伊藤との恋愛模様が描かれた。映画はドラマでラストまで登場しなかった伊藤が姿を現し5人の女性を翻弄(ほんろう)する。

 劇中に登場する「伊藤くん」のような男性との恋愛について、佐々木さんは「嫌ですね。嫌だけど、人生においてこういう人に出会うと自分の新たな感情とか、自分の人間くさいところとかに気づかせてくれるから、(今作に登場する)女の人たちみんなが伊藤くんに会ってよかったんじゃないかなと思います」と語る。

 伊藤くんの嫌いな部分として「私が演じた智美のシーンで言ったら、私が買ってあげたプレゼントを違う女性に渡したりとか、サイテーだなと。お金を貸してほしいそぶりを見せてきて、いざお金を渡したら、『君のそういうところが嫌い』と言うところとか。頼んできたのに、なんで渡したら怒るの?みたいな、そういうところとか、全部嫌です(笑い)」と具体的に語る。

 ただ、「私が仮に、伊藤くんのどこかを好きになって付き合うことになったとして、クズでサイテーな伊藤くんに気づいて別れたとしても、そういう恋愛もありかと思えていたいし、気づかせてくれた伊藤くんに(経験の一つとして)感謝するかなと思います。失敗は成功の元というか……」とポジティブにとらえている。

 伊藤を演じた岡田さんは現場では女性みんなから嫌がられ、「いつも(カットがかかったら)『すいません』と言っていたのを今でも覚えています。もちろん岡田さんが気持ち悪いわけではないし、気持ち悪くダメっぷりを見せてくれる岡田さんはすごいなと思います。普段カッコいいし、すごく紳士だし。だけど、あんなにも気持ち悪くなれる(笑い)。ギャップにびっくりしました。やっぱりすごいなと思います」と舞台裏を明かす。

 ◇年代によって共感する部分が異なる

 佐々木さんが演じる智美は伊藤くんに振り回される都合のいい女性だ。智美について「5年間、本当に自分は付き合っていると思っていて、いとも簡単に『俺、彼女ができたんだ』って言われたときは『えっ!』みたいな。(笑い)。智美は5年間、思い続けてきているし、ちょっと意地にもなっているだろうから、それでも伊藤くんを愛し続けていくのかなと思いつつ、私個人としては、もっとほかにいい人いるじゃないと思いながら(笑い)、台本を読んでいました」という。

 智美については「こんな人を好きになるという女性、たぶんいないと思うんですけど(笑い)。でも、好きな人のために何かしてあげたいとか先回りする気持ちは、分からなくもないかな。だから全く共感できないというわけではないですね。やっぱり全部の女性に何かしら共感する、分かるなという気持ちは、見ている方もきっと分かっていただけると思います」とわずかだが共感を寄せる。

 その他の女性に対しても「どの女性も(私に)ぴったり共感できるという人はいないですね。少しずつみんなの気持ちは分かりますけれど」と言い、「年齢によっても変わってくると思います。年代によってA、B、C、D、Eで共感する部分が違うかもしれない」と話す。

 佐々木さんは「今、一番この人だなという(女性の)タイプはいないけれど、若いころなら、(志田未来さん演じる)自己防衛女というのはちょっと分かるかな。例えば私、すごく仕事に没頭しているときは、言い寄ってくる男性とかいたら、ちよっと嫌だなと思ってました。でもはっきりも言えないし、でも、あんなに(劇中の志田さんのように)明からさまに嫌だなという顔もできないし、難しい」と笑う。

 ◇見返りを求めると…

 佐々木さんが演じた智美は尽くす女だが、自身は尽くす女と尽くされる女、どっちが幸せだと思うか、と聞くと「難しいですね。どっちも好きです。でも、尽くしたら尽くしてくれるだろうから、まずは自分が尽くす気持ちでいたいなと思いますね。男性にも女性にも。見返りは求めていないですけれど、好きになった人には、返ってこなくてもいいやと思って、尽くしちゃうと思いますね」と笑顔で語る。

 「この智美は、ちょっと見返りを求めていたのかな。私は見返りを求めるくらいならもう(尽くさなくて)いいかな、という感じ。それってキツいじゃないですか。求めている自分に疲れちゃうかもしれないし。まず自分はちゃんと尽くして、そして愛されたいですけれど」と理想の形を明かす。

 ◇30代に入る2018年には…

 2018年はどういう年にしたいかと聞くと、「私、30代になるので。30代ということで特にあまりないんですけれど(笑い)。健康もやっぱり大事にしなきゃと思っていますね。もちろん仕事もしっかり頑張りつつ、プライベートも充実させつつ、30代になっていくと(体が)いろいろ変化するというので、健康に気をつけながら、食材、食べるもの、日々の暮らし方をしっかりやっていきたいなと思っております」と自然体で語った。

 <プロフィル>

ささき・のぞみ。1988年2月8日生まれ、秋田県出身。2006年に雑誌「PINKY」(集英社、休刊)の「プリンセスPINKYオーディション」でグランプリを受賞し、芸能界デビュー。モデル業を中心に活躍するかたわら、09年に「天使の恋」で映画初主演。以降、女優としても活動の場を広げ、映画出演作に「ハンサム★スーツ」(08年)、「ぱいかじ南海作戦」(12年)、「サンゴレンジャー」(13年)、「呪怨 -終わりの始まり-」(14年)、主演映画「縁(えにし)~The Bride of Izumo~」「星ガ丘ワンダーランド」「嫌な女」(すべて16年)などがある。昨年はドラマ「小さな巨人」、動画配信サービス「Hulu(フールー)」のドラマ「雨が降ると君は優しい」などに出演。映画は「ラストコップ THE MOVIE」「東京喰種トーキョーグール」に出演した。出演した映画「伊藤くん A to E」は12日公開。

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