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俳優の東出昌大さんと新田真剣佑さんが兄弟役で出演する映画「OVER DRIVE」(羽住英一郎監督)が、6月1日からTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開される。自動車競技「ラリー」の世界を舞台に、メカニック担当の兄とドライバーの弟が、衝突しながらチームの仲間と勝利を目指す姿を描く。物語の面白さもさることながら、レースシーンは臨場感たっぷりで、手に汗握ること間違いなしだ。
スピカレーシングファクトリー所属の天才ドライバー、檜山直純(新田さん)は、「世界ラリー選手権」の登竜門「SEIKOカップラリーシリーズ(SCRS)」で、ライバルチームと熾烈(しれつ)な優勝争いを繰り広げていた。攻めの勝負をしたがる直純と、チーフメカニックで慎重派の兄・篤洋(東出さん)の衝突は絶えず、やがてチームの雰囲気も険悪になっていく。果たして競技の結果は……というストーリー。森川葵さんが、ラリーに関しては素人ながら、直純のマネジメントを任される遠藤ひかる役で出演。ほかに、北村匠海さん、町田啓太さん、要潤さん、吉田鋼太郎さんらが共演する。
小説やマンガの映画化が多い中のオリジナルストーリー。「海猿」シリーズで知られる羽住監督が、桑村さや香さんの脚本で、「海猿」を超える作品にしたいと腕をふるった。
ラリーファンや車好きなら、心をわしづかみにされるのではないか。今作のSCRSは架空のものだが、リアリティーを追求して作り込んだラリーシーンは本物さながら。一般公道を、競技車両がものすごいスピードで滑走する疾走感は半端なく、本物のラリーを観戦しているような臨場感が味わえた。
それだけではない。ラリーに関してはずぶの素人のひかるを登場させ、その成長も描くことで、ラリーという題材を敬遠しがちな人たちの共感も得られるように考えられている。ラリーに懸ける男たちの情熱や兄弟愛はもとより、性別、年齢、職種の違いを問わず仕事への向き合い方、そして、大げさ過ぎない恋愛劇が、エンターテインメントの枠の中で見事に融合した。見終えたときは、「面白い! そして、カッコいい!」と心の中で叫んでいた。(りんたいこ/フリーライター)