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女優の松井玲奈さんが出演した映画「輪違屋糸里(わちがいやいとさと) 京女たちの幕末」(加島幹也監督)が15日に公開される。浅田次郎さんの小説「輪違屋糸里」(文春文庫)が原作。幕末・京都の花街の島原輪違屋に身を置く主人公・天神糸里の友人で、桔梗屋の芸妓・吉栄を熱演した松井さんに、役作りについて、共演者とのエピソードなどについて聞いた。
女優の藤野涼子さん演じる糸里ら女性の目線から、新選組の芹沢鴨暗殺事件を描く本格時代劇。溝端淳平さんが糸里と恋仲の新選組・土方歳三、塚本高史さんが芹澤鴨、佐藤隆太さんが芹澤の腹心・平山五郎、松井さんは、平山と恋仲の吉栄をそれぞれ演じている。
――演じた吉栄の印象は?
すごく女性的な役。糸里と一緒にお団子を食べてはしゃぐような女の子の一面もあれば、好きな男性といる時に見せるしっとりとした女の一面もある。一つの作品の中で少女らしさと大人の女らしさを演じる機会があんまりなかったので、その二つを楽しみながら演じました。一人の女性として、見ている方にも「女の人っていろんな表情があるんだな」と思ってもらえる役なんじゃないかと思って演じていました。
――物語の中での恋愛模様について、どのように感じましたか?
現代の私たちが経験する恋愛とはまた違う枷(かせ)がたくさんあるんだと思っています。こんなに切なくて、でも、心がときめく場面もありながら、いろんな恋愛模様が描かれていく作品もあるんだな。花街に身を置く女性たちなので、自分の意志で自由に恋愛できないということが、この物語の切なさをより強めているんじゃないかと思いました。
――吉栄が見せる表情の中で気に入ってるものは?
糸里が、土方のことで「これはどういう意味なんだろう?」とか「どうしたらいいかな?」と吉栄に聞いているのに対して、お姉さんみたいに「それはこういうことじゃないの?」と(相談に)答えている、女子会的な、完全な女の子トークが好きな場面です。特に、糸里が「土方さんから手紙が来たの!」と大喜びで手紙を持って走って来た時、2人で「本当に?」と盛り上がりつつ、そこから(吉栄が)「でもこれたぶん違うと思うよ」と冷静に意見を言う、そんなやり取りがほほ笑ましい(笑い)。
――ちなみに、恋愛の相談はするタイプ? されるタイプ?
割とされますね(笑い)。でも結局難しいのは、人に相談する時って、割とみんな「大丈夫だよ」と言われたいんだなと思ってしまう。その子が、今どういう気持ちなんだろう、というのを聞いて、共有して、一緒に「そうだね。大変だね」と言えるのが一番なのかな。何かあった時にちゃんと受け止められるのが、友達としてできる最大限のことなのかなと思います。
――思い出に残っているシーンは?
(吉栄が)子供と一緒にいるシーンが、自分の中でも印象的です。どうして自分の子供にこの名前を付けたのかを子供に話すシーンは、撮影している時もすごく大切だなと思っていたんですが、完成したシーンを見て、この物語の核になる部分だと思いました。この作品は、恋の物語でもありながら、女の友情の話でもあるんです。それを一番感じてもらえるシーンなのかなと思いました。
――撮影中、ハプニングはありましたか?
私に起きたことじゃないんですけれど、(藤野)涼子ちゃん、糸里は走るシーンがすごく多かったので(下駄が壊れた)。割れたんでしたっけ。力強く走っていて、持ち道具さんが「こんなに下駄が割れることはない。次に割れたら替えがない」と言っていたのは、印象に残ってますね。
――撮影秘話を教えてください。
(恋人役の佐藤)隆太さんと一緒のシーンで、色っぽいシーンがあったんですけれど、(私が)男性にしなだれかかるしぐさがうまくなかったみたいで、監督が「こうやるんだよ」と、実演してくれた(笑い)。
監督は結構いいお年(の男性)なので、監督と隆太さんのちょっとしたいちゃついているところを見た時は「私、これをどういう気持ちで見たらいいんだろう」と(笑い)。ちゃんとお仕事として「監督はこうやってほしいんだ」という真面目な気持ちと、「なんかちょっと面白いな」と思ってしまう気持ちが、せめぎ合っていました。(本番は)すごくきれいに撮ってもらえたと思いますね。
――ファンへメッセージをお願いします。
時代劇はちょっと難しそうだとか、映画で見るのはハードルが高いなと思う方も多いと思うんですが、新しい気持ちで見てほしい。普段(現代劇に)出ている役者さんが、普段見ない幕末の様式で演じているのは新しい一面だと思うので、自分たちがなかなか触れてこなかったものを見る気持ちでこの作品を見てもらえたら、すごくうれしいです。