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俳優の溝端淳平さん、塚本高史さん、佐藤隆太さんらが出演した映画「輪違屋糸里 京女たちの幕末」(加島幹也監督)が15日公開される。原作は浅田次郎さんの小説「輪違屋糸里」。幕末・京都で活躍した新選組を演じた3人に、役作りや共演者とのエピソードなどについて聞いた。
京都の花街・島原が舞台。主人公の、島原輪違屋に身を置く芸妓・天神糸里(藤野涼子さん)ら女性の目線から、新選組の芹沢鴨暗殺事件を描く本格時代劇だ。溝端さんが糸里と恋仲の新選組・土方歳三、塚本さんが芹澤鴨、佐藤さんが芹澤の腹心の平山五郎、松井玲奈さんが、平山と恋仲で、糸里と仲の良い桔梗屋の芸妓・吉栄をそれぞれ演じている。
――新選組のイメージをお聞かせください。
溝端:新選組は、志半ばに倒れていくんで、幕末のヒーローの中では特にかっこいい。揺るがない志を持った方々なので、男はみんな好きなイメージですね。
佐藤:男くさいというか、男が見て憧れるかっこよさがあるイメージ。でも、今回の作品は、女性の目線から見た新選組の話。だから、僕たちが演じた一人一人の男に、それぞれに支える女性がいて、その女性にしか見せない顔を出せるんじゃないかな。そういうのが見られるのが新鮮。
塚本:新選組と新鮮をかけたわけですね!(笑い)。僕は幕末の武士に詳しいわけじゃないので、今回の作品に出てくる新選組の僕の役や芹沢のイメージしかない。かっこいい人たちというイメージは漠然とあるんですけれど、今回は一緒にいた女性の話なので。
――それぞれが演じた実在人物について、ご自身の印象をお願いいたします。
溝端:土方に関しては、いろんな方が演じられていて、すごくクールで、頭脳明晰(めいせき)で、しかも、自分を捨てて集団を生かすというかっこいい男だったんですけれど。今回の土方に関しては、本当に原作読んでも台本読んでも、なかなかつかみどころがなさ過ぎて、女性目線から見ると、特にひどい男に映っていると思いますね。でも、そういう役をやったことがなかったので、やらせていただけてとても楽しかったですし、光栄でした。
佐藤:今までやってなかったけれど、一番素に近いということね。(女性にひどいのは)当て書き(俳優に合わせて脚本を書くことからの皮肉)でしょ? 隠しきれない悪さが出てる。
溝端:何でやねん! おかしいでしょ、時代劇で当て書きって。「悪い男」って言ってるでしょ? 土方が当て書きってあんまり嫌な感じはしないけれど、これ悪口ですよね?
塚本:当て書きじゃないんだ(笑い)。(ひどい男役を)全うした淳平君がすごい。
溝端:全うしてない!(笑い)。本当に当て書きだったらそのままできますよ。そんなことない。(土方は)女性にひどいけれど、女性を犠牲にしてまでかなえたい野望があった。
塚本:僕の役(芹沢鴨)は、どこまでそれ(土方の野望)を知っていたかだよね。全部知っていたんなら、芹沢はいいやつ。(人生を)全うしていると思う。だまされたんだとしたら、やっぱり溝端淳平(の演じた土方)は悪いやつだと思う!(笑い)。
佐藤:完成した作品の2人(の演技)は、見応えあったな。(溝端さんが)いい感じにやらしい笑みをたたえながら(せりふを)言うわけですよ。男同士の掛け合いが見ていて本当に楽しかった。
溝端:僕は「目が笑ってない」ってよく言われる。
塚本:僕も「目が死んでる」ってよく言われる。
佐藤:じゃ、ベストキャスティングだったんだ(笑い)。
――自分以外の2人の演技については、いかがでしたか?
塚本:実際に出来上がったものを見て、(佐藤さんの恋人とのシーンは)「純だな」と思うし、(溝端さんの恋人とのシーンは)「そこまでする?」というところもあった。男同士でしか見せない顔とのギャップが楽しかった。
溝端:(塚本さんの恋人とのシーンは)生々しくてすてきでしたね。女と男ってこういうことなんだろうなと思いましたね。三者三様の恋愛がそれぞれあった。
佐藤:芹沢さんは切なかったな。男が共感できる。周りから見られているイメージとはまた別の孤独感とか恐怖心を抱えている。最後の散り方、マジでかっこよかった。まだ上映まで時間あるから、あそこごっそりカットしよう。
塚本:何でだよ!(笑い)。いいシーンなんだから。1日で一生懸命撮ったんだから。
溝端:剣術だけじゃない、芹沢の本当の武士の強さ、意地みたいなものが出た。
塚本:殺陣師の人たちともディスカッションして「こういった方がかっこいいし強く見える」とか、「ここすごく切られているけれど片手で止めちゃう?」とか。あそこが俺の中で、メインだった。
佐藤:かっこよかった。話だから仕方ないけれど、俺は不意打ちくらっちゃうから、悔しいのよ。半分くらい俺の顔にしない?(笑い)。
――撮影の思い出を教えてください。
溝端:お二人がとても仲良くて、盛り上げてくださった。なんか僕だけ後輩なんで、ちょっと恐縮していたんですが、しゃべるととっても明るく迎え入れてくれた。温かく居心地のいい現場にしてくださいました。
佐藤:後半は俺たちをあごで使ってたからね(笑い)。
溝端:使うか! おかしいでしょ? ちょっと優しいと思って、先輩をあごで使うなんてバカでしょ!
塚本:(作品で)やっていることは、笑いが一切ないけれど、その半面、男3人でいる時は、ご飯に行ったりして(仲が良かった)。そのギャップがあったからこそ、それぞれの女性との二人芝居に集中できた。
――最後に、本作の見どころをお願いします。
塚本:新選組を元に、その仕えていたというか、裏にいた女性たちの話がフィーチャーされていますので、女性がどういうふうに関わっていたか見ていただきたいと思います。
佐藤:個人的なパートとしては、松井玲奈ちゃん演じる吉栄との、ちょっと切ない恋模様を演じる役割だった。自分で見ても、胸を締め付けられる関係性になっていたと思うので、楽しんでもらいたいと思います。
溝端:新選組というと、かっこよくて、英雄のイメージがあると思いますが、女性目線で新選組を見ると、また違った形で新選組が描かれていて、日本人女性特有の耐え忍ぶ姿というか、男性に振り回されながらも強く懸命に生きる姿がとても美しく描かれていると思います。