映画「楽園」で共演した綾野剛さん(左)と杉咲花さん
公開中の映画「楽園」(瀬々敬久監督)で共演している俳優の綾野剛さんと杉咲花さん。今作のほかにも、公開作が控える綾野さんと、連続ドラマ「ハケン占い師アタル」やNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」で印象に残る演技を見せている杉咲さん。多忙な毎日を送る2人に、映画についてはもとより、健康のために心掛けていることや10年後の未来像について聞いた。
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◇2人の健康法は
健康維持のためにしていることを尋ねると、「おいしいご飯を、好きなときに、好きなだけ食べること。そして、楽しいと思えることをすることです。それは、体の健康のためというより、心の健康のためですね」と笑顔で答えた杉咲さん。好物を聞くと、「しゃぶしゃぶです」とにっこり。
かたや綾野さんは、健康のために運動をすることは「基本しない」そうで、あったとしても、「筋トレなどの無酸素運動くらい」だそうだ。
映画「武曲 MUKOKU」(2017年)では、筋肉質の美しい肉体を披露していた綾野さん。かつて、体を作るときは、大量の食材を一気にとるなどしていたそうだが、「それでは体が持たない」ため、最近は「食事制限をするときも、過度摂取するときも、血糖値の上昇をうまくコントロールする」という「丁寧で上手なやり方」を実践しているという。
◇「10年後の自分」に意外な反応
2003年に俳優デビューし、数々の映画やドラマに出演。その都度、印象に残る演技を見せてきた綾野さんと、17年開催の日本アカデミー賞で最優秀助演女優賞を受け、キャリアを重ねつつある杉咲さん。そんな2人に、10年後の未来像を尋ねると、「想像つかないです」と即答したのは、先日22歳になったばかりの杉咲さん。どんな女優になりたいかという問いにも「想像したくないです」という少し意外な答えが返ってきた。
しかし、「ご一緒してみたいキャストの方やスタッフさんはたくさんいますし、やってみたい仕事ももちろんあるのですけど、想像はしないです。というのは、思いもよらない出会いが今までにもたくさんありましたし、そこに感動できることがすごくうれしいからです。だからこそ、想像はしないです」と続ける。
ちなみに、憧れの人を聞くと、間髪入れず、ファッションデザイナーの川久保玲さんの名前を挙げた。川久保さんがデザインする洋服も好きで、よく身に着けているという。
一方、現在37歳の綾野さんに同じ質問をすると、これまた首を横に振るという意外な反応。そこで、「想像がつかないのか、それとも考えたくないのか」と質問を重ねると、あっさり、「興味がないんです」と答えた。
綾野さんいわく、今後どうなっていきたいかは、あくまでも、「“今”が作るもの」。つまり、「今、自分がどう生きるかによって(その後の人生は)変わっていくものなので、自分が綾野剛という人間をどこまで作り上げることができるか、という感覚しかない」のだという。
◇新しいことに挑戦した杉咲 杉咲といると「ピュアになれる」綾野
そんな綾野さんと杉咲さんが共演する映画「楽園」。杉咲さんは今回、新しいことに挑戦した。「私自身それまでは、“役に入り込む”ではないですけど、役としての感情のままでい続けるほうが楽だと思っていました。でも、そうではないやり方を、今回、『楽園』の現場で試してみよう、カメラが回っていないときは普通でいようと思っていました。それはそれでつらいこともあったのですが、綾野さんもそういうふうになさっているのを見て、改めてすごい方だなと思いましたし、勉強になりました」としみじみ語る。
そうした杉咲さんの姿は、綾野さんには、「ずっと(役に入り込んで)思い詰めているわけでもなく、ちゃんと自分のスイッチを持っている」と映っていたそうで、「その場の空気をとても大切にして、マネジャーさんたちとご飯を食べに行ったりもするし、なんでもないときはなんでもない話をするし。とてもよかったです。また、すぐにでも一緒にやりたいと思いました」と現場での杉咲さんをたたえる。
そして、綾野さん自身も杉咲さんから「吸収できることはたくさんあった」と話し、「彼女といると、とてもピュアな状態になれるんです。それがそのまま、今回、僕が演じた豪士という役に生かされているような気がします」と、互いの間に生まれた化学反応を語っていた。
映画は、人気作家・吉田修一さんの連作短編集「犯罪小説集」(角川文庫)の中の2編、「青田Y字路」と「万屋善次郎」を映像化。青田が広がるY字路で消息を絶った少女。事件は未解決のまま12年が過ぎ、被害少女と直前まで一緒にいた親友の湯川紡(つむぎ、杉咲さん)は、罪悪感を抱えたまま成長した。ある夜、紡は、不幸な生い立ちの青年・中村豪士(たけし、綾野さん)に助けられる。互いの不遇に共感し合う2人。そんな中、再びY字路で少女が消息を絶つ。住民たちの疑いの目は豪士に向けられ……というストーリー。ほかに、亡き妻を思いながらひっそりと暮らす養蜂家・万屋善次郎役で、佐藤浩市さんが出演している。
<綾野剛さんのプロフィル>
あやの・ごう。1982年1月26日生まれ。岐阜県出身。2003年俳優デビュー。2011年のNHK連続テレビ小説「カーネーション」で人気を博す。「日本で一番悪い奴ら」(2016年)で、第40回日本アカデミー賞優秀主演男優賞受賞。最近の映画出演作に「64-ロクヨン-」「怒り」(共に2016年)、「武曲 MUKOKU」「亜人」「ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~」(2017年)、「パンク侍、斬られて候」(2018年)など。待機作に「閉鎖病棟-それぞれの朝-」(11月1日公開)、「影裏」(2020年公開)がある。
<杉咲花さんプロフィル>
すぎさき・はな。1997年10月2日生まれ。東京都出身。ドラマ「夜行観覧車」(2013年)で注目を集める。「湯を沸かすほどの熱い愛」(2016年)で、第40回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞、新人俳優賞を獲得。最近の映画出演作に「無限の住人」(2017年)、「BLEACH」「パーフェクトワールド 君といる奇跡」「十年 Ten Years Japan」(いずれも2018年)、「十二人の死にたい子どもたち」(2019年)がある。
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