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一見無意味なことに本気で取り組んだサラリーマンたちを描く映画「前田建設ファンタジー営業部」(英勉監督)が、1月31日から新宿バルト9(東京都新宿区)で公開される。総合建設会社・前田建設工業(東京都千代田区)のファンタジー営業部の実話を基にした物語。1970年代を中心に人気を集めた永井豪さん原作のロボットアニメ「マジンガーZ」に登場するマジンガーZの地下格納庫兼プールを造ったらどうなるのか。そんな突拍子もないプロジェクトに挑んだサラリーマンたちは……。
前田建設工業広報グループの上司アサガワの「うちの技術で、マジンガーの格納庫を作ろう!」という一言から始まる。舞台となる2003年は、バブル経済崩壊を経て、建設業界が先行きに不安を抱えている状況だった。そんな中でアサガワが考え出したのが、アニメやマンガの世界をブルーオーシャン(新市場)として、そこからの発注を受け、実現を目指して検討する……という体裁のプロジェクトだった。
ただし、実物としては作らない。実物を作るのと全く同じように取り組み、設計図と見積書を完成させ、“心の中に建設する”という途方もないプロジェクトに挑む。
俳優の高杉真宙さんが、広報グループの冷静な若手社員ドイを演じ、熱血上司アサガワ役でお笑いコンビ「おぎやはぎ」の小木博明さんが出演。プロジェクトに挑む個性豊かな広報グループのメンバーを上地雄輔さん、岸井ゆきのさん、本多力さんが演じている。2013年に「前田建設ファンタジー営業部」の舞台版を手がけた「ヨーロッパ企画」の上田誠さんが脚本を担当した。
上司のむちゃぶりとも思える難題に、最初は全く乗り気がしない広報グループの面々が、徐々に「マジンガーZ」の世界、そして地下格納庫兼プールの“実現”にのめり込んでいく様子がコミカルかつドラマチックに描かれる。
プロジェクトは架空世界ながら、建設工程はかなりリアルだ。アニメ「マジンガーZ」の出撃シーンを研究しながら、「出撃の時にこぼれた水はどうするのか」と本気で考え、アニメ本編の作画の揺れに苦悩する本気の大人たちが、とても格好良く見えてくる。
ダムやトンネル、発電所など数々の大プロジェクトに携わってきた前田建設工業や、プロジェクトに協力する建設会社の技術の数々も詳細に描かれ、「建設ってすごい」と驚かされた。技術者として登場する掘削オタクのヤマダ役の町田啓太さん、ダムオタクのフワ役の六角精児さんの好演も光る。
「マジンガーZ」の出撃シーンで目にした地下格納庫兼プールは、どのような形で“再現”されるのか。そして、一体どれだけの金と時間が必要なのか。一大プロジェクトの全貌に、胸が熱くなった。(岡本温子/MANTAN)