あなたにおすすめ
東京国際映画祭:綾瀬はるか、井上真央、米倉涼子がドレスアップ 芳根京子は振り袖、水原希子、河合優実、菊地凛子も
女優の松雪泰子さんが主演する映画「甘いお酒でうがい」(大九明子監督)が、近日公開される。映画は、お笑いコンビ「シソンヌ」のじろうさんの原作小説を基に、じろうさん自ら脚本を手掛け、「美人が婚活してみたら」でもタッグを組んだ大九監督が映画化。平凡な40代独身の派遣社員、川嶋佳子役を演じた松雪さんに、日々の暮らしで大事にしていることや、ファッションのこだわり、10年後の未来像について聞いた。
◇白ワインでうがい?
「甘いお酒でうがい」は、お笑いコンビ「シソンヌ」のじろうさんが、長年コントで演じてきた中年の派遣社員「川嶋佳子」が日記を書いたなら……と想定して書いた同名小説(KADOKAWA)が原作。日々のささやかな喜びや悲哀が淡々とつづられている。
タイトルのちょっと不思議な語呂合わせは、下戸のじろうさんならではの独創的な発想だというが、映画の中では松雪さん演じるお酒好きの“佳子さん”がブランデーの一種、グラッパを口に含んでのどで転がすたび、水琴窟のような効果音が響くというしゃれた演出が施されている。ちなみに、松雪さんが好きなお酒は白ワインだという。松雪さんは「ワインとチーズをほんのちょっとだけ」たしなむのが“泰子さん流”のお酒との上手な付き合い方だと明かす。
◇おかっぱ頭で“佳子さん”役を引き寄せた
日ごろから「空間を整えることをすごく大事にしている」という松雪さん。理由を聞くと「家事をやっている時間って、意外と無になれたりもするから、私にとっては大事な時間なんですよね。何をやるにもまずは掃除をするところから始めると、思考も整理されていく感じがするんです。きちんと生活すると、ちゃんと地に足がつくというか。だから必ず身の回りをきれいに掃除して、空気をリフレッシュしてから始めるように心がけています。それができると『よし!』って、自分自身が安定する感覚があって。逆にそれができていないときには『ブレてるな』って感じるんですよね。だから佳子さんみたいに物を丁寧に扱ったり、『いつもありがとう』って感謝したりすることが大切だと思っていて」と説明する。
じろうさんの原作小説の表紙には、イラストレーターのオガワミホさんが手掛けたおかっぱ頭の少女のイラストが描かれている。髪形について、松雪さんは「普段は割とこれくらい(ミディアム)の長さにしていることが多いんですけど、今作のお話をいただいたのが、ちょうど撮影の合間で少しゆっくりしていた時期で『たまには切っちゃえ!』ってボブにしたばかりのころだったんです。『今、この髪形なんですが……』って大九監督にお伝えしたら、この表紙を見せられて『わあ~、(原作と)同じだね! せっかくだからこのままやっちゃう?』って感じだったんです(笑い)。おかっぱ頭が“佳子さん”を呼び寄せたのかな……(笑い)」と楽しそうに回想する。
◇ファッションのこだわりは?
個性的な“佳子さん”の着こなしについて、松雪さんは「ソックスと靴の色合わせがすごくカラフルで可愛かった」と楽しそうに語る。普段の自身のファッションは「日によって全然スタイルが違う」という。「柄物はあまり着ないけど、その日の気分によって色を選んだりすることはありますね」と話し、さらに「パターン(型)がキレイな服が好き。ブルーのアイテムを身に着けることが多いかな」と明かす。
お気に入りのブランドは、長年「Y's」や「Yohji Yamamoto」のパタンナーとして活躍していた西崎暢(みつる)さんが2009年に設立した「UJOH(ウジョー)」。「ちょっとノームコアで、縦長なラインが多いかな。今日着ているのも『UJOH』のシャツです」と話した。
◇10年後は?
映画の中の“佳子さん”は「白黒がちだった日常にちょっと色がついてきた気がする」と、40代独身としてのささやかな充実感をかみしめている。松雪さんに10年後の未来像について尋ねると「なんとなく今とは全然違う動きをしている気がします」と笑顔で語る。「自分でも想像がつかないことをやっていそうな気がする。今までの概念の枠を超えた何かをしているような気がしますね」と思いをはせていた。
次回は、今作での“佳子さん”の役作りや“大九組”の撮影の舞台裏、女優の仕事との向き合い方などについて聞く。
<プロフィル>
まつゆき・やすこ。1972年11月28日生まれ、佐賀県出身。1991年女優デビュー以降、数々のドラマ、映画、CM、舞台など幅広く活動。近作は、舞台「ハムレット」、テレビドラマ「ミス・ジコチョー~天才・天ノ教授の調査ファイル~」(2019年)など。2020年3月、“松雪泰子プロデュース企画”を始動。さまざまなコンテンツを楽しめるアートプロジェクトであるウェブサイト「mondoart project official web site」の立ち上げと共に、アーティスト活動を再開している。
(取材・文/渡邊玲子)