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映画「ジュラシック・ワールド/復活の大地」で日本語吹き替え版の声優を務め、取材に応じた松本若菜さん
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映画「ジュラシック・ワールド/復活の大地」で日本語吹き替え版の声優を務め、取材に応じた松本若菜さん

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松本若菜:芸能界を生き抜くには「気にしすぎないこと」 年齢を重ね「肩の力がすごく抜けた」

 公開中の映画「ジュラシック・ワールド/復活の大地」(ギャレス・エドワーズ監督)で、スカーレット・ヨハンソンさん演じる主人公、ゾーラ・ベネットの日本語吹き替え版の声優を務める、俳優の松本若菜さん。声優初挑戦で感じたことや、仕事で大切にしていることなどを聞いた

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 ◇初声優のオファーに驚き スカーレット・ヨハンソンから刺激も

 オファーを受けたときは「えっ、どうして? なんで?」と「頭の処理が追いつかないぐらいびっくりした」という。

 「ジュラシック・ワールドは世界的な超大作で、ファンももちろん多いですし、私も小さい頃から見てきたもの。そのシリーズで初の女性主演、私もそこに参加させていただけることは、とても意味があることだなと思って、気合が入りました」

 スカーレット・ヨハンソンさんの強さや迫力ある芝居と、松本さんがこれまで演じてきた役のイメージは重なることもある。その上でのオファーだった。

 「ただかっこよくて強いだけという女性だったら、なかなか共感はできなかったかもしれません。ゾーラ・ベネットは秘密工作員をしていて、過去に友人を亡くし、同時期に母も亡くしていて、心の傷が癒えないまま、今回のミッションに参加し、今の自分にできるだろうかという思いを背負っていると聞いて、彼女の弱さもありながら、その中の強さを表現できたらなって思いました」

 台本を読まないまま、映画の本編を繰り返し見て、ヨハンソンさんの演技に刺激を受けた。

 「私は英語はあまり得意ではないので、全てが分かるわけではないのですが、ただ表情で通じるものが不思議とあって、心情や内に秘めているものを感じられました。実際に台本と読み合わせたときに、逆に驚く部分もあって、『こういう表現のしかたをするんだ』というところもあれば、『みんなを引っ張っていくところだったから、ちょっと語気を強めたんだ』とか、あらためて気づかされました」

 ◇声と向き合って気づいたこと アニメ声優への意欲も

 声優として自身の声と向き合ったことで気づいたこともある。

 「ゾーラ・ベネットは、いわゆる“キャーっ”という悲鳴ではなく、“うぁー”みたいな、うめくようなセリフが台本にたくさん書いてあったのですが、私も今までお芝居で結構うめいてきたなと思い、うめくというのがスーッと入ってきて、これは自分の強みの一つなのかなと思いました。

 自分たちは普段は動いて、表情や声でお芝居をさせてもらっています。いかに表情や動きに頼っていたかと言ったら、ちょっと語弊があるかもしれませんが、声優さんたちは、声だけで奥行きを持たせてお芝居していると考えると、声だけで伝えることができる方々をあらためて尊敬しました」

 吹き替え版声優の経験をして、「次はアニメーションの声優もしてみたい」と話す。

 「経験してないことってまだまだありますよね。何かを初めてやるという、そのアクションは自分にとってすごく大きいことだと思いますし、これからも幅を狭めず、いろいろなものに挑戦していきたいなと思います」

 何かを新たに始めるときの心構えも尋ねた。

 「自分で自分の背中を『エイっ』と押すのが大変。新しいことをするって年齢的にも怖くなっていくし、どうしても安定感を求めてしまいます。でも、『エイっ』て押すのも自分なので、そこにたどり着くまでの行動というか、自分の気持ちのコントロールのほうが大切だと思います。気持ちが決まってしまえば、もう行くしかないので」

 ◇自身の座長像は「みんなで仲良く」

 演じたゾーラはリーダー的な存在。「リーダーシップを持った声のかけ方を意識しました」という。自身は引っ張っていくタイプなのか聞くと「みんなで仲良く(笑)」と笑顔を見せる。

 「私もありがたいことに何度か座長を経験させていただきました。座長が真摯(しんし)に作品に向かっていると、周りもやっぱり同じ方向を向いてゴールを見て進んでくださるんです。先頭に立たないといけない時もあると思いますが、そればかりだと私はちょっとつらいので、みんなで肩を並べて歩きながら、たまにちょっとかっこつけさせてもらっています(笑)」

 芸能界というサバイバルな環境で生き抜くために大切にしていることは、「あんまり気にしすぎないこと」だという。

「すてきな俳優さんはたくさんいらっしゃいますし、比べてもしょうがない。自分にしかできない何かっていうのを求めながらこの仕事をしているんだから、いただいたお仕事をどれだけ自分の中に落とし込んでやるかというところにすごくやりがいを感じています」

 とはいえ、20代~30代前半は「周りがものすごく気になっていた」と振り返る。

 「周りの目も気になったし、自分と誰かを比べることもありました。オーディションで最後まで残ったけど、落ちてしまい、選ばれた人の映画を見に行って、悔しい思いも何度もしてきました。年齢ってすごく大きくて、いい意味で諦めがつく。変なプライドがそぎ落とされて、ちょっととがっていた部分が1枚ずつ剥がされていくと、純粋にこの仕事が楽しいからっていうのしか残らなくて。ここ数年、肩の力がすごく抜けたなって思います」

 <プロフィル>

 まつもと・わかな 1984年2月25日生まれ、鳥取県出身。2007年俳優デビュー。2022年、連続ドラマ「やんごとなき一族」(フジテレビ系)で注目を集め、「東京ドラマアウォード2022」助演女優賞を受賞。2024年には連続ドラマ「西園寺さんは家事をしない」(TBS系)、「わたしの宝物」(フジテレビ系)で主演を務めた。2025年も「Dr.アシュラ」(フジテレビ系)で主役を演じ、「2025 エランドール賞」新人賞を受賞した。

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