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武井咲:結婚、出産と人生のステージが大きく変化した10年 変わったこと、変わらないこと

 女優の武井咲さんが出演する映画「るろうに剣心 最終章 The Final」(大友啓史監督)が4月23日に公開された。「るろうに剣心」の映画のプロジェクトがスタートしたのは、武井さんが17歳のとき。その後、結婚、出産と人生のステージが大きく変わった武井さんに、この10年間の変化について聞いた。

 ◇結婚・出産を経て「人が変わってしまっているのではないか」の声に…

 「るろうに剣心」は、和月伸宏さんの人気マンガの実写化として、2012年に誕生した映画シリーズ。武井さんは、亡き父から受け継いだ「神谷道場」で“人を生かす剣”を説く、神谷活心流の師範代・神谷薫というヒロインを演じている。

 シリーズ1作目の撮影時は「まだ17歳でお芝居の経験も浅く、子猫がポンッと(現場に)入り込んでしまったような頼りない存在だった」という武井さん。それから10年たち、結婚して母になり、主演の佐藤健さんは「人が変わってしまっているのではないかと怖かった」と武井さんに対して感じていたという。それを聞いた武井さんは「自分では何も変わらないつもりで現場に行ったんですが、健さんにとっては(結婚や出産が)未知なる部分だったようで(笑い)、『薫はどんな感じになっているのかな?』って、怖がらせてしまったのかもしれないですね(笑い)」と笑顔で語る。

 武井さん自身は、「現場では(佐藤)健さんがずっと剣心でいてくださったので、すぐに(薫としての)感覚を取り戻せました」と話す。

 ◇10年たっても「本当に何一つ変わらない」

 2016年のインタビューでは、「女性が輝き続けるには、好きなことを続けること」「母のような女性になりたい」「靴が大好き」と話していた武井さん。その翌年の2017年に23歳で結婚し、2018年に女児を出産。この10年で人生のステージが大きく変化した27歳の女性として、どのような変化があったかと尋ねたところ、「いやあ、私って、本当に何一つ変わらないんです」と笑い出した。

 「『人生って本当に短い』と思うから、今なお可能な限り自分が好きなことを選択していきたいし、母に甘えっぱなしなところも昔と変わりません(笑い)。でも、私自身も母になったことで、ますます母の偉大さを痛感するようになりました。靴が好きなのも変わらずですが(笑い)、以前よりも吟味するようになったので、時には思い切って“一生モノ”を買うことも。ファッションは『シンプルが一番!』というところに今は落ち着いてるかな」

 「何も変わらない」という言葉を裏付けるように、スクリーンに映る武井さん演じる薫も10年たっても変わらず、みずみずしさを放っている。とはいえビジュアル面での苦労はあったようで「剣心を演じた(佐藤)健さんは、変化をまったく感じさせないので本当にすごいですよね。私は10代の頃は顔も幼かったし、『大丈夫かな』って心配になる部分はありました」と明かす。

 出産後も美しいプロポーションを維持している秘訣(ひけつ)を尋ねると、「全然保ててないです!」とすぐさま否定し、「自分に甘々な時期ももちろんありますし、撮影前に『このままじゃいけない!』と思って、必死で自分を奮い立たせた感じです(笑い)。やらなきゃいけない状況に自ら追い込みました」と明かして、陰での苦労があったことをうかがわせた。

 ◇出産後、本格的な女優復帰「家族のサポートもあって仕事に集中できた」

 今作が撮影されたのは、2年前の2019年。武井さんにとって、出産後の本格的な女優復帰作となったが、「ありがたいことに、家族のサポートもあって、仕事に集中できる環境だった」と振り返り、「風邪を引かないように食事にも気をつけながら、自宅で体作りのトレーニングから始めた気がします。また、せりふがちゃんと覚えられるか心配で、時間を見つけては台本を一生懸命読んでいました」と語る。

 それでも、当初は「オン・オフをどうやったらうまく切り替えられるのか悩みましたね」という武井さん。そこで大友監督の言葉が大きな支えになった。「大友監督から『女優さんは自分の生きざまがお芝居にもつながる。剣心の衝撃的な過去を知った薫が、それをどう受け止め、どう乗り越えるのかを描く今作においても、(武井さんが)結婚や出産を経て母になった経験が、きっと良い作用をもたらしてくれるんじゃないか』と言っていただけたことがすごく心強かったんです。そのお陰で、フラットな気持ちで臨むことができました」と感謝する。

 さらにシリーズ最終章ということもあり、「『やるからには前よりさらにアップデートさせないと』という意識が現場の皆さんからヒシヒシと伝わってきて、『これはまたすごい景色が見られそうだな』という高揚感もありました」と明かす。

 「セットなどの美術も『ここ、本当にカメラに写りますか?』というくらい細部にまでこだわっていましたし、広島県の撮影では、町を丸ごと『るろ剣』ワールドに仕立て上げてしまったくらい、ものすごく大がかりなロケの連続なんです。シリーズ開始から10年たって改めて感じるのは、やっぱり作品の重みですね。当時の健さんは20代前半の若さで、これだけの責任を背負って剣心を演じられていたのかと思うとゾッとします(笑い)。恐ろしいほどのプレッシャーを抱えながらも、周囲にはそれをまったく感じさせない穏やかさで。健さんのすごさを改めて思い知らされました」と実感を込める。

 10年間携わったシリーズの完結にあたり、「もちろん寂しい気持ちはありますし、いち『るろ剣』ファンとしては『もしかなうなら、ぜひまた続編をやってほしい!』という思いもありますが(笑い)」と本音をのぞかせつつ、「実写化する上でとても高いハードルがあった『るろうに剣心』が、いまこうしてファイナルを迎えられるということが素直にうれしいですし、ドキドキ、ワクワクしています。アクションにこれほど多彩な色が感じられるのも、健さんが演じる剣心だからこそ! 私には到底できないとてつもないアクションの数々を、ぜひ世界中の皆さんに見届けてほしいですね」と胸を張った。

 「るろうに剣心」は、和月伸宏さんの人気マンガの実写化として、2012年に誕生した映画シリーズ。2014年に公開された第2作と第3作から、およそ5年の準備期間を経て製作された「最終章The Final」では、“人斬り抜刀斎”として恐れられた緋村剣心(佐藤さん)が、シリーズ“最恐”の敵・雪代縁(えにし、新田真剣佑さん)と戦う様を描く。6月4日に公開される「るろうに剣心 最終章 The Beginning」では剣心の十字傷の謎に迫り、シリーズが完結する。

 (取材・文・撮影/渡邊玲子)

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