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女優の高岡早紀さんが主演を務め、カルト的な人気を呼んだ連続ドラマ「リカ」(東海テレビ・フジテレビ系)のその後を描く映画「リカ ~自称28歳の純愛モンスター~」(松木創監督)が公開中だ。美しくも鬼気迫る演技が「怖すぎて笑える」とSNSで大いに話題となった主人公・雨宮リカを演じた高岡さんに、女性も憧れる自身の色気、衣装やヘアスタイルに込めた役作りのこだわり、映画版の見どころを聞いた。
5月に初のエッセー本「魔性ですか?」(KADOKAWA)を発売した高岡さん。その美しさはもちろん、醸し出す色気に憧れる女性も多い。
色気の源を聞くと「幼かった頃の娘を見て、『ああ、色気があるっていうのはこういうことなのかなあ』と、ふと思ったことがある」と振り返りつつ、それは生まれ持ったものだから、色気の源が何なのかは分からない。そう考えると色気なんて、ある日、急になくなっちゃうかもしれないじゃない。『高岡さん、最近色気ゼロですね』『どこ行っちゃったんですか? あの色気!』 みたいなことだってあるかもしれないですし」と屈託のない笑顔を見せる。
そして、「いまは自分自身ハッピーだし、健康だし、特に何かが足りなくて困ってることもない。とにかく平和です」と充実した表情。目指す“自画像”を「年齢を重ねるにつれ、人間的には少しずつステップアップしていかなくちゃとは思います。『年齢を重ねてきたなりの何かがあるね』って感じてもらえるようにしておきたい」と語った。
劇中で高岡さんが演じる雨宮リカは、自称28歳で、愛する人を手に入れるためなら手段を選ばない“狂気の純愛モンスター”。映画版では市原隼人さん扮(ふん)する宿敵の刑事・奥山次郎をターゲットにし、テレビドラマで見せた以上にパワーアップした、“最恐の純愛モンスター”として描かれる。
リカは、花柄ワンピースと、前髪を短く切りそろえた黒髪がトレードマーク。高岡さん自身も「リカほど派手なものではないけれど、落ち着いた感じの小花柄はすごく好き」だというが、あまりにもリカ役の印象が強くなったために「プライベートでは、しばらく花柄は着られないかなあ」と苦笑い。リカが人気キャラクターに成長したがゆえのジレンマもあるようだ。
どんなときも「演じる役の髪形は自分から提案する」といい、リカも同様だ。映画版では「『どうしようかなあ』と美容院でいろいろ悩んだあげく、見た人が、ほんのちょっと違和感を覚えるくらいの特殊な髪形の方が面白いかなと思い、『カツラっぽい感じにしてみよう!』とひらめきました。カッコイイのか、変なのか、ちょっと判断に迷う“微妙な”ラインを狙いました」と振り返る。
さらに「私の中では、リカはアジトに潜んでいるようなイメージがあるので、あまりお風呂に入っていないかもしれないなと思い、ちょっとオイリーにしてみました」と告白。「誰も気がつかないようなことで、完全に自己満足なんですが、そんなふうに遊び心を足して自分なりに楽しんでいるんです」とちゃめっ気たっぷりに話す。
衣装についても「プロデューサーやスタイリストさんが試行錯誤を重ねた上で、『あ、花柄が面白いね!』という話になって『やるからにはとことん花柄にこだわろう!』と盛り上がり、皆で作り上げていった完成形が、あのリカの姿なんです。さまざまな要素が加わって、それがすべてうまくハマッた」と舞台裏を明かした。
「正直、リカみたいな女性が主人公のドラマがこれほど多くの方々に支持していただけるとは思わなかった」といい、「私が『28歳です!』と言うことが、そんなに面白いとは自分では思わなかったんだけどな」と楽しそうに笑う高岡さん。
一方で「『いったい私はどれだけモンスター役を演じれば気が済むんだろう?』とも感じた」と、「モンスター役がハマリ役」とされることへの思いもある。
「深作欣二監督の『忠臣蔵外伝 四谷怪談』(1994年公開)から始まって、特殊メークで演じた大九明子監督の『モンスター』(2013年公開)や、今回の『リカ』シリーズ、すべて私の中では何らかの転機になっている作品。私がこういう役に呼ばれているのか、私が呼んでいるのか分からないけど、そんな自分のことをちょっと面白いなと思うこともあります」
ドラマ版では、リカがターミネーターのように超人的な速さで走ってタクシーを追いかける場面があった。映画版では、スパイダーマンのように壁をよじ登り、自在に宙を飛ぶなど、さらなる進化を遂げている。
高岡さん自身も「『映画版ではパワーアップしてリカが空を飛んじゃうんだよ!』と言われて、それを受け入れるまでには、さすがに少し時間を要しました」と戸惑いがあった様子。しかし「今回は完全なるエンターテインメントに振り切っているので、笑っていただいてもいいですし、もちろん怖がっていただいてもいいのですが、どこか切ない気持ちになってもらえたら一番うれしいです」と語る。
また映画版では、リカが一人で、ままごと遊びをする様子も映し出される。高岡さんは、「あれはリカの夢なんです。こんな家に住んで、大好きな人と子供の声が聞こえて、犬も飼って……。それを全部一人で作って並べて『ワンワン!』と言ってしまう。いまこうして思い出すだけでも、涙が出てきちゃうくらい健気(けなげ)で悲しい姿だけど、女性ならきっと共感できますよね。あの姿を見ると、いつしか『リカにも幸せになってもらいたい……』と願わずにはいられなくなるんだと思います」と、リカの心情に思いを寄せていた。
(取材・文/渡邊玲子)