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第一線で活躍する著名人の「30歳のころ」から、生きるヒントを探します。第2回は女優の寺島しのぶさん。当時の思い出や、30歳をより輝かせるためのアドバイス、12月4、5日に放送される「2夜連続ドラマスペシャル 山崎豊子『女系家族』」などについて聞きました。(全3回、編集・取材・文/NAOMI YUMIYAMA)
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日本を代表する女優であり、1児の母でもある寺島しのぶさんに、アラサーの女性に「やっておいてほしいこと」を尋ねた。
「年配の人に話を聞くのはいいことだと思いますよ。私も、それはすごく身になっています」と、寺島さんは語る。
「私も当時、自分より年上の女優さんですてきだなと思う人に話を聞いていました。たとえば、桃井かおりさん。アラサーのころ、『赤目四十八瀧心中未遂』の後、『ヴァイブレータ』という映画に出るかを迷ったときです。さすがに2作続けて脱ぐシーンがあると女優としてイメージがついてしまうのではと悩みました。そんなとき、たまたま桃井さんにバーで会ったので相談したら、『しのぶちゃん、あなたや私みたいなお嬢さんはどんな役をやっても下品にはならない。絶対にやった方がいい』と言ってくれて。そんなものなんだ、と思って出演を決めたんです」
人に助言を求めるうえで「人選びのセンス」も大切だと語る。その感覚を磨くためにも、1人ではなく、たくさんの人に話を聞くことを勧める。
「30歳だったらまだ若いので、1人だけでなく、いろんな人の話を聞いて導いてもらえればいいと思うんです。そのうち、この人はすてきだなという選択もできるようになりますしね。今はコロナ禍で、人と会うのも大変だとは思いますが……。真剣な姿勢で聞けば、相手も真剣に答えてくれるはず。やはり先輩は伊達(だて)じゃないんです。いずれ、“棚からぼた餅”みたいな話も聞けるかもしれませんよ(笑い)。」
寺島さん自身、年上の監督からのオファーは断らないようにしているという。
「年配の監督は、これまで人生を見つめてきたからすごいんですよ。私も人生の要所要所で先輩たちに助言をいただき、『行くぞ!』と思えたことはラッキーでした」
◇やりたいことは今すぐ。後回しにしないで
30代でしておけばよかったことは……。
「体のメンテナンスですね! 30代から少しずつでもいいから、自分の体を大事にしてほしいです。当時、私は女優として体は鍛えていましたが、暴飲暴食もしましたし、すごく遊んでもいました。その結果、50代手前になった今、結構きついな……と実感しています(笑い)。若い時に自分の体にしてきたことは、40、50代でなかったことにはできない。そのことを知っておいてもらえたらと思います」
最後にアラサーの女性へのメッセージを聞いた。
「もし何かやりたいことがあるなら、先延ばしにせずにやってほしいです。コロナが落ち着かない状況では、やりたいことを見つけるのも大変なこと。だからこそ、もし見つかったら、まだ時間に余裕のあるアラサーの時期に、自分の直感を信じて挑戦してほしいんですよ。
私もこれまで、自分にしかできないと思った役はやってきました。それは直観のようなもので、賭けみたいなところがあります。(ベルリン映画祭で主演女優賞を受賞した)『キャタピラー』も、脚本を読んで絶対に私にしかやれないと思い、出演しました。今も脚本を読みながら他の女優さんが頭に浮かぶと、その人が演じたほうがいいと思うのでやりません。これからもずっとそうだと思います」
<プロフィル>
てらじま・しのぶ 1972年12月28日生まれ、京都市出身。父は歌舞伎役者の尾上菊五郎さん、母は女優の富司純子さん、弟は歌舞伎役者の尾上菊之助さん。文学座を経て舞台・映画・ドラマで活躍。荒戸源次郎監督の「赤目四十八瀧心中未遂」(2003年)と廣木隆一監督の「ヴァイブレータ」(同)で国内外の映画賞の女優賞を数多く受賞し、若松孝二監督の「キャタピラー」(2010年)ではベルリン国際映画祭銀熊賞(女優賞)を獲得し、平柳敦子監督の「OH LUCY!(オー・ルーシー!)」(2018年)ではインディペンデント・スピリット賞主演女優賞にノミネートされた。出演近作に「Arc アーク」「空白」「ヤクザと家族 The Family」「キネマの神様」(いずれも2021年)がある。私生活では2007年にアートディレクターのローラン・グナシアさんと結婚。1児の母。
*……2夜連続ドラマスペシャル 山崎豊子「女系家族」▽監督:鶴橋康夫▽出演:宮沢りえ、寺島しのぶ/役所広司(特別出演)、奥田瑛二ほか▽テレビ朝日系で12月4、5日午後9時から2夜連続放送。
*……次回は、ドラマ「女系家族」への思いを聞く。12月1日掲載予定