検索

本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞:島本理生「2020年の恋人たち」が受賞 恋愛を通して生き方を振り返る物語

 小説誌「オール讀物」(文藝春秋)が、大人がじっくり読める質の高い恋愛小説を広めるため「本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞」を創設し、第1回受賞作が島本理生さんの「2020年の恋人たち」(中央公論新社)に決まったことが12月24日、分かった。島本さんは同作について「私が東京で生まれ育ったこともあり、いつか東京を舞台にした男女の出会いを書きたいと思っていました。実際に執筆する中で、これは主人公が恋愛を通して生き方を振り返り、もう必要ないものを手放していく物語だと気づきました」とコメントしている。

 島本さんは2018年に「ファーストラヴ」(文藝春秋)で第159回直木賞を受賞。主な著書に「ナラタージュ」(角川書店)、「大きな熊が来る前に、おやすみ。」(新潮社)などがある。今回の受賞について「これまでの作品の中で一番、改稿に苦労した小説だったので、今回の受賞の知らせはとても嬉しかったです。最終的に、多くの若い女性にとっての恋愛の縮図のような小説になったのではないかと感じています」と喜びを語った。

 ワインバーを営んでいた母が突然死に、落ち着く間もなく店を引き継ぐかどうか、前原葵は選択を迫られる。めまぐるしく変化する日常とさまざまな人との関係性のなかで、葵の心は揺れ動いていく……という内容。

 同賞は、2020年10月1日から2021年9月30日に刊行された単行本の中から、文芸評論家の北上次郎さんらの推薦をもとに、同誌編集部が候補作を決定。受賞作のほか、窪美澄さん著「ははのれんあい」(角川書店)、佐々木愛さん著「料理なんて愛なんて」(文藝春秋)、吉川トリコさん著「余命一年、男をかう」(講談社)、綿矢りささん著「オーラの発表会」(集英社)の5作が候補に選ばれた。現役の書店員5人が選考委員を務め、12月3日に文藝春秋(東京都千代田区)で選考会を行った。

本・シネマ 最新記事

アクセス上位記事