取材に応じた中川晃教さん
「ステージ」に情熱を注ぐ俳優に舞台の魅力を聞く新連載。第8回は中川晃教さんに話を聞きました。(編集・取材・文/NAOMI YUMIYAMA)
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ミュージカル界を牽引(けんいん)する中川さんの主演舞台「銀河鉄道999 THE MUSICAL」が4月に開幕する。これまで2度上演されて人気を呼んだ作品で、今回は本格ミュージカルとして進化した作品になる。未来の地球で中川さん演じる主人公の星野鉄郎が、謎の女性メーテルと共に永遠の命を求めて宇宙を旅する物語だ。
「3度も鉄郎を演じられるのは、本当に幸せ」と、中川さんは瞳を輝かせる。「作者の松本零士先生がこの物語の題名が『999』である理由を、“1000になると旅は終わる。その1歩手前が、鉄郎なんだ”と話されていました。終わらない旅を続ける鉄郎は永遠の少年であり、誰の心の中にもある存在なんです」と、魅力を語った。
今回の最大の見どころは、「ミュージカルであること。そこに自分の使命を感じています」と断言。続けて「登場人物全員が主人公でそれぞれに曲があり、パワーがある。まさにグランド・ミュージカル。『グレイテスト・ショーマン』や『レ・ミゼラブル』などのミュージカルが好きな、幅広い人たちに見てほしい」と熱を込めた。
◇新たなメーテルは元宝塚トップ娘役 仲間とともに大きな感動を
人気キャラクターが勢ぞろいする「999」で、メーテル役は今回、芝居では初共演となる花總(はなふさ)まりさんが演じる。神田沙也加さんが演じる予定だったが、新たな出発となった。
「実は花總さんとはボイストレーナーの先生が同じ。その素晴らしさは以前から聞いていました」と、中川さん。「元宝塚のトップ娘役というミュージカルの豊かな経験があり、衣装を着た美しい姿はメーテルそのもの。今回、代役を引き受けてくれたことには、彼女の沙也加さんへの思いを感じています。そんな花總さんと共に鉄郎とメーテルを演じるのは、何かのめぐりあわせですね」と話した。
音楽監督を「ゴダイゴ」のミッキー吉野さんが手がけることも、大きな話題の一つ。今回の楽曲について中川さんは「ポップさもあり、メロディーラインを聞くだけで登場人物の気持ちが広がってくる」と、絶賛する。大ヒットしたゴダイゴのテーマ曲「銀河鉄道999 The Galaxcy Express 999」も舞台で披露される。
新たな出発を始めた中川さん。いつも前向きなその姿は、希望を求めて旅を続ける星野鉄郎に重なる。
「去年から舞台はミュージカルの新作ラッシュ。でもコロナ禍で中止や延期になった作品も多く、僕たちもダメージを受けました。それに、この世界は新しい才能が次々に出てくるから、大変なこともあります。
そんな中で自分を奮い立たせてくれるのが、『今日の我に明日は勝つ』という美空ひばりさんの言葉と、仲間たちの存在。みんな初々しい時代を経て、ミュージカルと共に成長し、強い志と熱意で今の波を作ってきました。これからもそんな仲間たちと、お客様に感動とエネルギーを伝えられるよう、頑張っていきたいと思います」
<中川さんに一問一答>
――私生活で役に影響される方? されない方?
「されないです。でも周りからはよく『される方じゃない?』と聞かれます。『絶対ないよ』と答えるんですが、そうすると『意外!』と言われてしまって……(苦笑)」
――楽屋に置いているお気に入りグッズは。
「特にアロマが好きというわけではないのですけれど、ティーツリーオイルはよく使いますね。肌に塗れるタイプで殺菌効果もあるし、リフレッシュもリラックスもできるんです」
――最近、体のためにしていることは。
「アップとクールダウンは必ずやります。シャワーを浴びたりプールで泳いだり。自分は水にまつわることが合っているみたいです」
――舞台中、絶対食べるものは。
「季節の果物」
――今後、舞台で演じてみたい役は。
「これまで16歳の少年やモーツアルト、犬(スヌーピー)やフランケンシュタイン博士まで演じさせていただいたので、次はE.T.(地球外生命体)ですね。僕、なれると思います(笑い)」
◇プロフィル
なかがわ・あきのり 1982年11月5日生まれ。宮城県仙台市出身。2001年に、自身が作詞作曲した「I Will Get Your Kiss」でCDデビュー。翌年、ミュージカル「モーツァルト!」に主演し、舞台デビュー。同作で第57回文化庁芸術祭賞演劇部門新人賞、第10回読売演劇大賞優秀男優賞、杉村春子賞を受賞した。音楽活動と並行して数々のミュージカルに主演している。
*……「銀河鉄道999 THE MUSICAL」▽原作:松本零士▽脚本・作詞:高橋亜子▽演出:小山ゆうな▽音楽監督:ミッキー吉野▽出演:中川晃教、花總まり、佐藤流司ほか▽日本青年館ホール(東京都新宿区)で4月8~18日に上演
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