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「シラノ・ド・ベルジュラック」に主演する古川雄大さん
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「シラノ・ド・ベルジュラック」に主演する古川雄大さん

スポットライト~舞台で輝く男たち:古川雄大さん 三角関係に陥ったら身を引くタイプ 前代未聞の演出で「シラノ」に挑む

 「ステージ」に情熱を注ぐ俳優に舞台の魅力を聞く新連載「スポットライト~舞台で輝く男たち」。第5回は古川雄大さんに聞きました。(編集・取材・文/NAOMI YUMIYAMA)

 ◇世界を驚かせた斬新な舞台で、伝説のヒーローに挑む

 ミュージカル界で活躍する古川さんが、主演舞台「シラノ・ド・ベルジュラック」で10年ぶりのストレートプレーに挑戦する。

 17世紀に実在した詩人で、剣豪としても知られたヒーロー、シラノを主人公にしたフランスの戯曲。今回、古川さんが演じるのは、2019年に劇作家マーティン・クリンプさんが脚色した、現代的でスタイリッシュな最新バージョン。ラップなどの表現を用い、英国演劇界最高峰の賞といわれているローレンス・オリヴィエ賞でリバイバル賞に輝いた作品の日本初上演となる。

 「ミュージカルにたくさん出演させていただく中、お芝居一つで勝負する作品に出たいという思いもすごくあったので、お話をいただいて『願いがかなった!』と素直にうれしかったです」と語る古川さん。

 「マーティン・クリンプ版は、言葉だけで芝居を紡いでいく舞台。ジェームズ・マカヴォイさんが演じているのを映像で見たときは、作品にひきこまれて最後まで見入ってしまいました。演出も役者のスキルも、とにかくすごい。セリフ量も膨大ですし、大変な挑戦になりそうですが、ここをめざして自分もやりたいなと思います」と、意欲を見せた。

 ◇孤独なシラノの怒りと、切ない“三角関係”

 シラノの勇気に満ちた生き様と一人の女性を思い続ける愛の物語は、これまで映画や舞台で何度も上演されてきた。古川さんはそんな彼の「複雑な人間性」にひかれるという。

 「詩も書けて剣も強いのに、大きな鼻というコンプレックスを持っている。彼の原動力は怒りだと感じています。怒りで敵を作って、自分の居場所を確保しているところがあるんです。ただ、コンプレックスを素直にさらけ出せる人にはすごくやさしいところもあって、すぐに友達になるんです。内面が複雑で、あえて孤独な環境に身を置いて闘っているところがかっこいいなと思います」

 シラノといえば、元祖「ラブレターの代筆」の物語。美しく知的な従妹(いとこ)のロクサーヌをひそかに愛しているが、友人のクリスチャンに頼まれ、詩人ならではの「言葉」を紡いで、ふたりの恋の仲介をする。

 「好きな人がいるけれど、その人は自分の友人が好きで、その友人から恋文を頼まれてしまう。自分の“表現”は認められているのに、彼女が愛しているのは自分ではないところが切ないですよね。二人をとりもつことはシラノには喜びですが、大きな哀しみでもあって。後半になるにつれて、状況はどんどん複雑になる。僕自身がこんな三角関係に陥ったら、どうぞどうぞって身を引くと思います。人と揉(も)めたくないので(笑い)。これほど人を思う彼はすごいと思います」

 今回の舞台で、日本語でのラップにも挑む。

 「ロンドンで上演された際には、ラップの種類で出演者のバックボーンを描いたりしていますが、それはラップの文化がある国だから。ラップにあまりなじみのない日本でどう表現するのかは、演出の谷賢一さんと相談しながら、作り上げていきます」

 ◇キャリアの原点は「エリザベート」のルドルフ役

 古川さんにとって大きなチャレンジになりそうな「シラノ」。今年は、彼にとって「キャリアの転機になった」というミュージカル「エリザベート」にも出演予定だ。約10年前、24歳のときオーディションで役を勝ち取り、皇太子のルドルフ役を演じた。

 「『エリザベート』は、初めての東宝ミュージカルでした。内容自体も素晴らしいし、いろんな解釈ができるところも面白い。すごく長い公演で、集中力を何カ月もキープする必要もありましたが、それだけに達成感がすごかった。歌も頑張らなきゃなと思わせてくれた、自分の原点といえる舞台です」

 最後に「シラノ・ド・ベルジュラック」についてメッセージを。

 「誰もが多少はコンプレックスを持っていると思います。シラノがいびつな三角関係を通して、自らのコンプレックスからくる弱さとどう向き合っていくのか。観てくださる方々に、人生のヒントをくれるような作品になると思います」

 ◇古川さんに一問一答

--私生活で役に影響される方? されない方?

 「あまりされない方です」

--舞台中、絶対食べるものは。    「舞台中はあまり食欲がなくなってしまうので、塩のおむすびを、無理にでも食べるようにしています」

--楽屋に置いているお気に入りグッズは。

 「アロマのディフューザー」

--最近、体のためにしている事は。

 「筋トレをしています」

--今後、舞台で演じてみたい役は?

 「王子様のような役は何度か演じさせていただきましたので、人間的な複雑な役に挑戦したい。まさに今回のシラノがそうです」

 ◇プロフィル

 ふるかわ・ゆうた 1987年7月9日生まれ。長野県出身。2007年、俳優デビュー。ミュージカル「黒執事」「ロミオ&ジュリエット」「モーツァルト!」などでタイトルロールを演じる。テレビドラマでは「女の戦争~バチェラー殺人事件~」「私の正しいお兄ちゃん」で主演した。

 *……「シラノ・ド・ベルジュラック」▽作:エドモン・ロスタン▽脚色:マーティン・クリンプ▽翻訳・演出:谷賢一▽出演:古川雄大/馬場ふみか、浜中文一、大鶴佐助、章平、堀部圭亮/銀粉蝶ほか▽上演:2月7~20日に東京芸術劇場 プレイハウス(東京都豊島区)、2月25~27日にCOOL JAPAN PARK OSAKA TTホール(大阪市中央区)で上演▽公式サイト:https://www.cyrano.jp/

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