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スポットライト~舞台で輝く男たち・特別編:「ハリー・ポッター」対談 舞台版ハリーの息子役に抜てき! ロンドン帰りの慶応ボーイと将棋好きの「おっさん」系男子

 「ステージ」に情熱を注ぐ俳優に舞台の魅力を聞く新連載。第9回は特別編として、ハリー・ポッターを藤原竜也さん、石丸幹二さん、向井理さんが演じることでも話題の舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」で、ハリーの息子で物語の中心人物となるアルバス・ポッター役を演じる二人に話を聞きました。(編集・取材・文/NAOMI YUMIYAMA)

 世界5カ国で上演されている舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」が今夏、ついに日本で上演される。「ハリー・ポッターと死の秘宝」の19年後を描く物語で、父親になったハリーと息子アルバスとの葛藤や冒険が描かれる。

 アルバス役に抜てきされたのは、ロンドン帰りの慶応ボーイ・藤田悠(ふじた・はる)さん(24)と、将棋好きの「おっさん」系男子・福山康平(ふくやま・こうへい)さん(23)。2020年から開催されたオーディションで約2000人の中から選ばれた。同世代でダブルキャストの二人が、出会いやオーディションの舞台裏、お互いの魅力について語り合った。

 ◇個性の違う二人のシンデレラボーイ

 ――自己紹介を。

 藤田さん 3歳のとき父の仕事でイギリスに行き、中学までロンドンで暮らしていました。大学1年から始めた演劇の魅力に取りつかれて、今は小劇場に出演しています。現在は慶応大の4年生です。

 性格は、負けず嫌いで夢は海外の作品に出演することです。疲れたときは街の銭湯に行き、湯船でゆっくり考えるのが好きです。

 福山さん 習っていたピアノの教室でスカウトされて、「予告犯」という映画で俳優デビューしました。その後は映画や舞台に出演しています。

 趣味は子供の頃からやっている将棋。生活を一人で楽しめるタイプです。息抜きは料理で、魚をさばいてお造りとか。たまにそんな自分を“おっさん”みたいだなと思います(笑い)。

 ――今回のオーディションを受けたきっかけは。

 藤田さん 役者を目指して大学を留年してあちこちのオーディションを受けていたときに、友人がこのオーディションを見つけてきてくれました。一般公募だったので、「これ受けてみたらどう?」と勧めてくれたんです。「ハリー・ポッター」シリーズは小学校の教室にも必ず1冊は本があるくらい、イギリスでは国民的な作品だったので縁も感じ、最後の賭けだと思って応募しました。

 福山さん ぼくは、ミュージカル「生きる」に出演して、「舞台っていいな」って思っていたころに今回のオーディションを知って。実はぼく、高校時代のあだ名が「ハリー・ポッター」シリーズに出てくるキャラクターの「ドビー」だったんです。当時、野球をやっていてガリガリだったから(笑い)。そんなこともあって、作品に親しみを感じていたので、初めて自分から「このオーディション、受けたいです」ってマネジャーさんに伝えました。

 ――二人の出会いは。

 藤田さん オーディションです。福山くんのことは、とても覚えています。6人ぐらい残った中で、すごく集中していて、オーラが出ていました。

 福山さん ぼくが藤田くんを意識したのは、合格したあとでした。オーディションのときは、気合を入れすぎて、周りが見えていなかったから(笑い)。会ったときはすごく気さくで、ホッとしました。

 ◇ドキドキしていた半年間 合格の知らせはトイレの中で!

 ――約2000人と競ったオーディションで印象的だったことは。

 藤田さん オーディションは期間が長かったですね。どの面接が最終面接なのかわからなくなっていたほどです。

 福山さん そう。半年ぐらいかかったよね。その間ずっとドキドキしていました。

 藤田さん 印象に残っているのは、突然雨が降ってきた日に、スコーピウス役に決まった斉藤莉生くんが傘を貸してくれたこと。一緒に駅まで行って、2人ともまだオーディション中だったので、いつかまた会いたいねって別れたら、二人とも合格してた!

 福山さん すごい偶然だね。ぼくはイギリスのスタッフとの面接が印象的だった。アルバス役とスコーピウス役のテストで、「アルバスだったら、こうすると思うよ」とか、具体的なアドバイスをくれて。これは本番の舞台にもいきるぞって思った。

 藤田さん ぼくもそう思った! 短い時間の中で丁寧に教えてくださったし、英語でのオーディションはニュアンスもダイレクトにわかりました。

 ――合格してアルバス役になったと聞いた瞬間は。

 藤田さん ちょうど小劇場の舞台のけいこ中で、トイレに入っていたとき携帯が鳴って。

 福山さん すごいシチュエーション!(笑い)

 藤田さん 聞いた瞬間は、信じられなかった! 驚きすぎて、実感もしばらく湧かなかったです。福山くんは?

 福山さん マネジャーさんがわざわざ自宅まで来てくれたの。その理由を伝えずに。

 藤田さん え?

 福山さん だからオーディションに合格したのか、怒られるのかどっちかだなって。しばらく、たわいない世間話ばかりするし(笑い)。あとで改めて、正式に知らせてくれた。先の見えないオーディションだったし、それまで苦しいことも多かったから、2人ですごく喜んだよ。

 藤田さん いいマネジャーさんですね!

 ◇藤原竜也、石丸幹二、向井理のぜいたくすぎる顔ぶれに武者震い

 ――父親のハリー・ポッター役が藤原竜也さん、石丸幹二さん、向井理さんだと知ったときは。

 藤田さん 最初に聞いたときは「えええっ!」って。……知らなかったので。

 福山さん ぼくらも世間のみなさんとほぼ同じタイミングで知ったからね。

 藤田さん とにかく、すごいぜいたくな顔ぶれでビックリしました。

 福山さん ぜいたくだよね。それも3人とも少しずつ経験が違う方で。

 藤田さん ぼくはプロの方と共演するのも初めてだから、こんなすごい方たちと舞台でセッションできるんだとすごく楽しみな半面、緊張もすごいです。武者震いというか……。ただ、アルバスという役も偉大なお父さんにコンプレックスを持っているから、今の自分の気持ちを役作りに生かせられればいいな。

 福山さん そうだよね。いろいろな部分で差がありすぎるから、背中をお借りする感じで挑みたい。けいこ場ではたくさん恥をかくと思うけれど、その分勉強もできると思うから、本当に楽しみだよね。

 ◇支え合いながら、いつか唯一無二の友達に

 ――お互い、どんなアルバスになると思うか。

 藤田さん ぼくにとってアルバスは、目標ができると周りのことは考えずに一直線に向かっていくタイプ。だから、オーディションですごく集中していた福山くんは、アルバスらしいなと思います。

 福山さん ぼくはさっきの撮影で藤田くんの表情を見て、アルバスだって思った(笑い)! アルバスって闇を抱えている部分もある半面、友達のスコーピウスと会うと、急に無邪気に可愛いくなる瞬間がある。そんなところが似ているなって。

 ――今後、二人はどんな関係に。

 藤田さん 同じ役を、誰かとずっと一緒にやるという経験はあまりないと思います。だから福山くんとは、唯一無二の友達になれる気がしてる。いや、なりたいですね!

 福山さん ありがとう! 今回の舞台は長期間だし、片方が倒れたら片方が支えなきゃいけないし、目指すものも一緒。これからもよろしく!

<プロフィル>

 ふじた・はる 1997年6月14日生まれ。ロンドン出身。慶応大1年で演劇を始め、舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」でプロデビューする。

 ふくやま・こうへい 1998年3月13日生まれ。東京都出身。2015年、映画「予告犯」で俳優デビュー。出演作に、映画「女々演」、ドラマ「精霊の守り人」「最愛のひと~The other side of 日本沈没~」、舞台「トロイ戦争は起こらない」「密やかな結晶」「生きる」など。

 *……舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」▽オリジナルストーリー:J・K・ローリング▽出演:藤原竜也、石丸幹二、向井理ほか▽上演:TBS赤坂ACTシアター(東京都港区)で6月16日~7月7日にプレビュー公演、7月8日から本公演▽公式サイト:https://www.harrypotter-stage.jp/

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