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福本莉子:デビュー直後は「お先真っ暗だった」 今は乗り越えて「絶好調です!」 乱歩の世界で倉科カナと初共演

 2016年の第8回「東宝シンデレラ」オーディションでグランプリ、集英社賞(セブンティーン賞)をダブル受賞し、芸能界デビューした福本莉子さんが快進撃を続けている。昨年は「華麗なる一族」(WOWOW)や「消えた初恋」(テレビ朝日)などドラマに多数出演し、初の単独主演映画が公開。今年は2月、7月に主演映画、5月に出演映画が公開される。5月11日からは舞台「お勢、断行」に出演。作・演出を倉持裕さんが手掛ける作品で、倉科カナさん、江口のり子さんら実力派俳優と共に江戸川乱歩の迷宮世界に挑む。福本さんに倉科さんとの共演や、転機を聞いた。(編集・取材・文/NAOMI YUMIYAMA)

 ◇倉科カナは「お姉さんみたいな」存在 乱歩の舞台で初共演

 乱歩が生んだ希代の悪女「お勢」と欲望にまみれた人々が謀略をめぐらす物語で、福本さんは令嬢の晶を演じる。

 「人間の裏表、本音と建前が入り乱れる世界で、晶は一番、純粋に見える人。でも実は……?という役です(笑い)。突然、父が精神病院に連れていかれて、何が悪で何が善かが分からなくなってしまった晶が、その事態をどう切り抜けるのかが見どころです」

 主人公の「お勢」を演じる倉科カナさん、江口のりこさん、大空ゆうひさん、正名僕蔵(まさな・ぼくぞう)さん、梶原善さんなど実力派キャストたちとの稽古(けいこ)場は「とても居心地がいい」と目を輝かせる。

 「倉科さんはお姉さんみたいで、一緒に演じるときはすごく気遣いをしてくださいます。でもお勢になると、悪女ぶりとたたずまいが、とにかく美しいしカッコよくて。大正末期を想定したお話なので稽古場も着物ですが、みなさんが自分で着付けをされているところも憧れています」

 演出を手掛ける倉持さんの舞台に出ることは以前からの夢だったという。

 「以前、倉持さんの作品『鎌塚氏、舞い散る』を見た時、役者さんが魅力的で笑いのセンスも好きだったので、出演が決まったときは『念願の倉持さんの舞台に!』と喜びました。乱歩の独特な世界で、“誰もが持っているよね”という人間のズルい話が“倉持さんマジック”で描かれる。私も稽古を通じて、自分がどんな風に成長するか楽しみです」

 ◇お先真っ暗だったデビュー直後 初主演ミュージカルが転機に

 16歳のとき、友人のすすめで応募した第8回「東宝シンデレラ」オーディションでグランプリを受賞してから6年。現在は次世代を担う若手女優の一人だが、デビュー当時は順風満帆ではなかったと明かす。

 「役者を始めた頃は右も左も分からない感じでしたね。当時は大阪にいたのですが、シンデレラオーディションのファイナリストの子たちとワークショップをやっていました。普通に話せても、セリフになると途端にできない。お芝居ってなんでこんなに難しいんだろうって思っていました」

 オーディションがあるたびに新幹線で上京したが、うまくいかない日々が続いた。

 「落ちるために行っている。そんな感じでした。どうせ受からないしな……というマインドで、お先真っ暗な感じで。なにをやってもネガティブでした」

 仕事が前向きになったきっかけは2018年にミュージカル「魔女の宅急便」で主演したことだった。

 「初めての大きいお仕事が、舞台だったんです。受験もあったけれど、主役という責任もあり、それまでの人生で一番頑張った作品でした。それからは目の前の仕事を必死でこなして。初めての映画、初めてのドラマと緊張ばかりでしたが、それらを『乗り越えた』という結果が自信につながったなと思います。最近はようやく欲が出てきました(笑い)。今は、絶好調です!」

 多忙な日々の息抜きは「映画」を鑑賞すること。「見ているときは、別世界に行けるんですよ。映画館でも配信でも見ます。最近心に残った作品は『フォレスト・ガンプ/一期一会』。やっと見られました!」とほほ笑む。進化を続ける福本さんに、今後の抱負をたずねた。

 「舞台とかナビゲーターとか、最近はいろんなジャンルに毎年挑戦できているのですごく楽しい。朝ドラもずっとオーディションを受けていて、チャンスがあれば出たいなって思っています。今回の『お勢、断行』も、初めてのストレートプレー。これからも常に自分の殻を破っていきたいですね」

 *……舞台「お勢、断行」▽原案:江戸川乱歩▽作・演出:倉持裕▽出演:倉科カナ、福本莉子、江口のりこ、池谷のぶえ、堀井新太、粕谷吉洋、千葉雅子、大空ゆうひ、正名僕蔵、梶原善▽公演日程:5月11~24日(5~6月にツアー公演あり)▽会場:世田谷パブリックシアター(東京都世田谷区)

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