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大屋夏南:モデル歴18年、アパレルブランドをスタート 物作りも生活も「心地よさ」追求

 モデルの大屋夏南(おおや・かな)さんがクリエーティブディレクターを務めるファッションブランド「ENCIRCLE(エンサークル)」がこのほど、誕生した。17歳でデビューし、モデル歴18年の大屋さんの洋服へのこだわり、心地よく過ごすために必要な「自分のためだけの時間」、年齢を重ねるにつれて気づいた「人の期待に応えるよりも大切なこと」について聞いた。

 ◇1日の始まりは外でコーヒー 「自分のためだけの時間」を作る

 大屋さんはブラジルで1987年に生まれた。ファッション誌やファッションショーで活躍。現在はYouTuberやコラムニストとしても活動し、自身のライフスタイルを発信している。忙しいなかでも体に良いものを選んで料理する様子や、オーガニックコスメを取り入れた美容法などを紹介している。

 生活の軸にしているのは「心地よさ」。特に大切にしているのは、1日のなかで「自分のためだけの時間」を意識して作ることだという。「朝起きたら、何をするよりも先に、外にコーヒーを飲みに行きます。本読んだり、ぼーっとしたり。たまに仕事をしてしまうときもありますが、自分の決断でしているので、『やらなきゃ』という感じがない。そういう時間がすごく好きです」

 自宅ではYouTubeに投稿する動画の編集などパソコンで作業することも多いが、作業するのは午後6時まで。「ブルーライトで眠れなくなってしまうので、夜はパソコンを使う作業はストップします。仕事が終わると、ワインを飲んでNetflixを見る。その時間が本当に幸せ。

 リアルでもデジタル上でも、たくさんの人に関わる仕事なので、あえて切り離す時間を作り、自分のためだけに頭と心を使うことでバランスを取っています」

 ◇人の期待に応えるより「自分のことを大切に」

 昔から、今のようなライフスタイルが実践できたわけではないという。

 「若い頃は、社会や環境、いろいろなことにのまれていました。人の期待に応えることが、一番大切だと思っていたように感じます。特に19歳から旅に出るようになったことで、海外の文化に触れて、いろいろな人と出会って、自分がどういう生き方をしたいのか考えさせられる時期がありました」

 メンタルや体の調子を崩してしまった時期もあった。求められることにがむしゃらに取り組むなか、「このままでいいのかな」と思ったという。

 「自分が幸せでいないと、周りの人を幸せにしてあげられないと気がつきました。自分が関わっている人には、いい人生を送ってほしい。だから周りの人を大切にするために、自分のことを大切にする。20代の終わりぐらいから、ゆっくりそういう考え方に落ち着いてきました。人を幸せにすることは“幸せのおすそ分け”だと思っています」

 ◇ファッションは「もっと楽しめる物」

 誕生したブランド「エンサークル」も「心地よさ」にこだわった。素材や着心地のほかに、「自分の体に関するコンプレックスや、『もっとこう見えてほしい』という思いを、シルエットで解決して、自分を自由にさせてくれるような洋服にしたいと思って作りました」と話す。

 モデルという職業柄、これまでたくさんの洋服を着てきた。その経験から、パンツの丈一つで、自分の脚の見え方がきれいに変わることを知った。

 「スエットの下に着るTシャツも、はみ出る長さによって全体の見え方が変わります。スエットによってTシャツを変えるなど、すごくマニアックなことをやっているタイプ」と、服選びのこだわりの強さを明かす。

 「ファンの方から、体形やファッションの悩みを聞くこともありました。ファッションは、もっと楽しめる物だし、自己表現の一つでもある。それを制限なく、みんながそういうマインドになれたらいいなと、洋服を作る前から思って発信してきました。今回は実際に洋服をお届けできることができて、すごくありがたいです」

 ◇コロナ禍で感じた人と縁 「物作りと環境もつながっている」

 ブランド名「ENCIRCLE」には「一周する」「取り囲む」という意味がある。

 「『エン』という音も入っていて、日本語の『縁』や『円』も連想させる言葉です。コロナ禍であらためて感じたのは、人とのつながり。会えなくなった分、これまではちゃんとつながっていたと感じたし、会えなくてもつながり方がある。SNSやYouTubeで発信するなかで自分の一言が誰かの役に立っていたり、誰かの一言で私がすごく救われたり、そういったつながりを感じました。

 環境とのつながりも意識するようになりました。孤立しているものはなくて、みんな一つの円のようにつながっている。だからオーガニックコットンやリサイクル素材を使った、環境に配慮したアイテムも展開しています」

 ◇自然の中ですごす時間 バランスを保つことにつながる

 今年35歳を迎える大屋さん。30代でやっておきたいことを尋ねると、「30代に限らずいつでもやりたいことはやったほうがいい」ときっぱり。

 「今回のブランド立ち上げのほかに、プロジェクトが二つ進行しています。やりたいことが多くて、自分の体とメンタルが追いつかないこともあるので、オンとオフのバランスを上手に取れるようになりたいですね。

 東京の自宅とは別に、山の方にも家があって、そこでもっと時間を過ごしたいと思ってます。周りに何もない、近くに小川が流れているような場所。ずっと同じ場所にいると切り替えるのも難しいので、バランスを保つためにも、自然の中にもっと身を置きたいという欲が出てきています」

 *……ファーストコレクションは、タンクトップやTシャツ、スエット、スラックス、ボアジャケット、エコダウンなど。シンプルでベーシックなデザインのアイテムを展開する。公式オンラインショップで受注販売中。

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