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俳優の田中麗奈さんが、當真あみさん主演の映画「ストロベリームーン 余命半年の恋」(酒井麻衣監督、公開中)に出演。當真さん演じる桜井萌の母・桜井美代子を演じている。余命半年と宣告されながら、一生分の恋をする娘を見守った母親役での心境や仕事をする上で大切にしていることなどを聞いた。
◇余命を知り夢をかなえる娘に母の目線
同作は、TikTokで「令和イチ泣ける」と話題になった芥川なおさんの同名小説(すばる舎)が原作で、映画は岡田惠和さんの脚本。田中さんは「岡田さんの作品は初めてなので、あの脚本の世界に入れるんだ!とすごくうれしかったです」という。
「企画書をいただいた時点で、『ストロベリームーン』という名前だけでも良い予感がしました。余命ものはこれまでもたくさん作られてきているかと思いますが、他の作品とは違う視点でも描かれている作品で、実際に台本を読んだら、もう号泣しちゃいました」
自らの余命を知りながら、夢をかなえていく萌。「若さのエネルギーがあって、前向きですごく明るくて、ピュアで、本当にひまわりのような女の子。見ている人の心を動かし、豊かさをくれる子だと思います」と、まさに“母”の目線で語る。
美代子を演じるにあたり、萌を自身の娘と重ねることもあったという。
「娘とあみちゃん演じる萌ちゃんを重ねて、できる限り、寄り添って過ごしました。あみちゃんは編み物が好きで、現場でもよく編んでいたので、私も教えてもらい、始めはコミュニケーションを深めていきました」
◇あらためて感じた親としての子どもへの思い
萌の父・康介を演じたユースケ・サンタマリアさんとともに、娘がデートから帰るのを待つシーンも印象的だ。
「2人で待っているところは、ユースケさんから前もって監督へお芝居の提案がありました。そわそわしているお父さんと、どんと構えているお母さんっていうのがリアルに感じられる微笑ましいシーンになっているかと思います」
萌が学校に行って頑張って告白しているシーンなどは「一生懸命で可愛い」とほほ笑むが、やはり涙を誘う場面も多い。
「現場でも気を抜くとすぐ泣いてしまいそうでした。監督と打ち合わせして、ボロボロ涙が出てしまうこともあって。美代子は、萌のために笑おうと頑張って、気を張っていたと思うんです。もし私自身に何かあったとしても、娘の前では切り替えて明るく接したいし、不安や心配がありながらも前向きな娘に引っ張られて進んでいくことはあると思います。あらためて、母親も父親も子どもへの思いが深いものだなと感じました。
母親だったら、子どもの病気に対して、『もしかして自分のせいなのかな』とかいろんな思いが出てきてしまうと思うんですよね。この作品はキラキラした部分もあるんですけど、自分の中ではしっかり現実に落とし込んで、家族の支えなどもしっかりと伝えることを意識しました。岡田さんの脚本で描かれているそういう部分を、酒井監督がしっかり撮ってくださっているので、自分も伝えていくのが任務だと思っています」
◇感謝の気持ちを忘れずに マンガ原作の挑戦に意欲も
10代から仕事を始めた田中さんに、長く続ける中で、特に大事にしていることを尋ねたら、「感謝の気持ち」と即答。
「与えられた環境に慣れちゃいけないと思います。やっぱり純粋に人に喜んでもらいたいなとか、自分のできることで何かの役に立ちたいなとか、褒められたらうれしいなとかは常に感じていることです。俳優っていうお仕事をさせてもらっているわけですから、おごらず、純粋にやれることをしっかりやっていきたいです」
そう語る田中さんは「今回の映画だったら、お母さん世代に見てもらいたいという任務を果たす気持ちです」と力を込めた。
今後、演じてみたい役柄としては「ちょっとぶっ飛んだぐらいのものをやってみたい」という。
「最近もマンガ原作の映画を見たらとても面白くて。幸せでしたね。マンガでしか生まれなかったようなお話も、時間をかけて技術を学んでいくような、そういう準備が必要な役もやってみたい。さまざまな監督との出会いで、いろんな色に染められたいです」
<プロフィール>
たなか・れな 1980年5月22日生まれ、福岡県出身。1998年、映画「がんばっていきまっしょい」の主演で俳優デビュー、日本アカデミー賞主演女優賞を受賞。以降、映画、ドラマ、舞台などで幅広く活動。最近の主な出演作品として、連続テレビ小説「ブギウギ」、映画「福田村事件」、映画「雪風 YUKIKAZE」、映画「ナイトフラワー」、映画「星と月は天の穴」などがある。