株式会社新潮社観たはずなのに、気づかなかった…!読み始めたら止まらない、高畑勲監督の『火垂るの墓』制作秘話。番組に収録しきれなかった新事実を加筆して刊行。
『高畑勲と「火垂るの墓」 ─「幻の脚本」と「7冊の構想ノート」を読み解く─』(寺越陽子著)が6月24日(水)に新潮社より刊行されます。
「アルプスの少女ハイジ」「母をたずねて三千里」をはじめ、遺作となった「かぐや姫の物語」まで数々の名作を生み出してきた高畑勲監督。本書は、監督の代表作の一つであり、いまも世界各地から反響が寄せられる映画「火垂るの墓」の誕生に迫ったドキュメントです。
監督の没後に見つかった「7冊の構想ノート」を読み解いたETV特集「火垂るの墓と高畑勲と7冊のノート」を書籍化、番組に収録しきれなかった制作秘話や、放送後に分かった新事実も盛り込みました。

この度公開された、寺越陽子著『高畑勲と「火垂るの墓」』のカバーと帯デザイン
高畑さんが亡くなった後、〔火垂るの墓〕のために書かれた「7冊のノート」が見つかった。そこには野坂昭如(あきゆき)による短編小説「火垂るの墓」からアニメーション映画が生まれるまでの創作の過程が記されていた。
(「はじめに」より)
本書の著者は、ETV特集を制作したNHKのディレクター、寺越陽子さん。じつは、寺越さんはかつて2年半もの密着取材をした「かぐや姫の物語」の制作現場で、高畑監督がこう言ったのを聞いていました。
「ぼくは火垂るの墓を全然完成しないで封切った」
2013年6月14日、夕暮れ。スタジオジブリ第7スタジオのバルコニーで、高畑勲監督は語り始めた。わたしは映画〔かぐや姫の物語〕の制作現場の密着取材で、カメラを手にその隣にいた。
(「はじめに」より)
その発言は、いったいどういう意味だったのか。ここから寺越さんは、美術品として厳重に保管してある「7冊のノート」を閲覧、さらに当時の制作スタッフや識者をひとりひとり訪ねて話を聞きながら、どのように原作小説から映画が作られていったかを追っていきます。そのキーポイントのひとつが、高畑監督が映画化にあたり生み出した、オリジナルの「仕掛け」でした。
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主人公の清太と節子と入れ替わるようにして画面に登場する、幽霊の清太と節子。-
原作小説には一度だけ、映画ではストーリーの要所に何度も出てくるサクマ式ドロップ缶。
これまであまり多くは取り上げられなかった、原作にはない映画オリジナルの「仕掛け」を紐解いた特集は大きな反響を呼び、2025年8月の放送直後からSNSには、
「今だからこそ観るべき素晴らしいドキュメンタリーだった」
「凄い番組だった……」
「高畑勲の恐ろしさを感じた」
などと好評と感嘆の声が次々と寄せられました。
また多くの視聴者を惹きつけたのは、高畑監督が「これは反戦映画ではない」と言い続けていたことを紹介した点でした。
本書では「7冊のノート」の分析を大幅に加筆、番組で放送しきれなかった制作スタッフによる証言やエピソードの数々も掲載しています。
本書の特徴のひとつが、「7冊の構想ノート」をはじめ、映画制作時に使用された貴重な資料、高畑監督にまつわる写真も多数収録していることです。また8ページにわたる冒頭のカラー口絵では、13点の資料や映画の場面カットを見ることができます。うち2点は初公開となる資料です。
本書のページをめくりながら、原作小説に向き合いながら映画化を進めた高畑監督の思考の跡を辿ることができます。

「火垂るの墓」イメージボードの一枚。丸柱に寄りかかっている清太を、もう一人の清太が見ている。(C)野坂昭如/新潮社, 1988(カラー口絵より)

映画終盤の場面カット。「映画の最後に清太のF(幽霊)が出てくるんですけど、この清太は一瞬、観客のほうをふっと見るんですね」(早稲田大学文学学術院・細馬宏通教授)(C)野坂昭如/新潮社, 1988(カラー口絵より)
映画「火垂るの墓」は2024年にNETFLIXによる世界配信が始まり、昨年国内でも配信されたことから、さまざまな反響を呼び起こしています。配信をきっかけに、各国での劇場公開も相次いでいます。
なぜ「火垂るの墓」は制作から38年経ったいまも人々の心を打ち続けるのか。
観たことがある方も、新たな視点で「火垂るの墓」をもう一度見返してみたくなる、心揺さぶるドキュメントです。
『高畑勲と火垂るの墓』の詳細はこちら新潮社の書籍紹介ページへ遷移します

高畑勲監督=2016年撮影
高畑勲(たかはた・いさお)日本のアニメーション・映画監督。1959年に東映動画に入社。「アルプスの少女ハイジ」や「母をたずねて三千里」などの作品を手がける。のちに宮崎駿、鈴木敏夫らとともにスタジオジブリ設立に参画。「火垂るの墓」「かぐや姫の物語」などの監督を務め、2018年に肺がんのため82歳で亡くなる。
「二度と観たくない傑作」はこうして生まれた。
幽霊の清太、幾度も登場するドロップ缶、節子を笑顔にした蛍のまばゆい光。映画オリジナルの「仕掛け」と制作秘話から、巨匠が遺した想いに迫る。「これは反戦映画ではありません」──高畑勲監督は生前なぜこう言い続けたのか? NHKディレクターが世界的ヒットとなった映画を丹念に取材した、心揺さぶるドキュメント。
カラー口絵8ページ
はじめに
第1章 自宅に遺されていた構想ノート
第2章 ノート4冊目に記された「幽霊の清太」
第3章 高畑さんが「一番悩んでいたのは」
第4章 「幻の脚本」
第5章 戦後40年経ってのアニメーション映画
第6章 高畑監督も「清太」だった
第7章 土壇場でカットされた10分間と線画で公開された3つのシーン
第8章 ドキュメンタリー取材を受けない三つの理由
おわりに――「これは反戦映画ではない」高畑さんが遺した問いかけ
NHK 首都圏局ディレクター。1980 年、金沢市生まれ。日本大学芸術学部卒業後、フリーランスを経て東北新社入社。2018 年にNHK に入局。25 年8 月にETV 特集〔火垂るの墓と高畑勲と7 冊のノート〕を制作・放送。主な作品にスタジオジブリの長編〔かぐや姫の物語〕の制作過程から劇場公開まで約2 年半を記録した〔高畑勲、『かぐや姫の物語』をつくる。~ジブリ第7 スタジオ、933 日の伝説~〕(14 年)、〔養老センセイとまる〕(17 年)をはじめとする〔ネコメンタリー 猫も、杓子(しゃくし)も。〕シリーズ、ノーナレ 〔川崎サウスサイドラップ〕(19 年)、同〔屋根裏のちばてつや〕(20 年)などがある。本書が初の著書。
【タイトル】高畑勲と「火垂るの墓」 ─「幻の脚本」と「7冊の構想ノート」を読み解く─
【著者名】寺越陽子(てらこし・ようこ)
【発売日】2026年6月24日(水)
【造本】四六判・224ページ
【定価】1,980円(税込)
【ISBN】978-4-10-357081-3
【URL】
https://www.shinchosha.co.jp/book/357081/企業プレスリリース詳細へPR TIMESトップへ