「ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの」の一場面 Copyright (C) 2013 Fine Line Media,Inc.All Rights Reserved.
ニューヨークに住む実在のアートコレクターの夫妻にカメラを向けたドキュメンタリー「ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人」(08年)の完結編「ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの」(佐々木芽生監督)が全国で順次公開中だ。前作はコレクションを国立美術館に寄贈するところで終わったが、その5000点近いコレクションのうち50作品ずつが、米国の50州の美術館に寄贈されるプロジェクトとして始動していた。幸せな生き方のお手本のような夫妻のその後も描かれている。
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元郵便局員のハーブと元図書館司書のドロシーは、ニューヨークの1LDKの部屋に住んでいる。給料で買い集めたアートコレクションは国立美術館に寄贈し、「50×50 フィフティ・バイ・フィフティ」というプロジェクトとして全米各地の美術館に散らばることになった。ハワイ、ノースダコタなどの現代アートとは無縁の地にも作品が行きわたり、美術館に訪れる小さな子どもたちを喜ばせている。長年付き合ってきたアーティストたちの中には、プロジェクトに対しての反対の声もあった。自分たちのコレクションをパソコンで感慨深げに見るドロシー。一方、ハーブは口数が減っていき……という展開。
前作ですてきな夫妻とアート作品の楽しさを存分に見せてくれた佐々木監督。今作では美術館にも丁寧な取材を行い、最先端アートを親しみのあるものにいかに見せるかという課題にも取り組んでいる。2人がまいた種が全米中に散らばっているのを見るにつけ、コレクションという自己満足の世界が人々に幸せをもたらしていることに感動を覚える。有名、無名問わずアーティストを応援し続けてきたハーブとドロシー。すてきな生き方に心から拍手したい。3月30日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)、東京都写真美術館ホール(東京都目黒区)ほか全国で順次公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
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