福山雅治さん主演の大人気ドラマ「ガリレオ」の「容疑者Xの献身」(08年)に続く劇場版第2弾「真夏の方程式」が29日、全国で公開された。海辺の町を舞台に、おなじみの天才物理学者・湯川学が難事件に挑む。子ども嫌いの湯川が少年と過ごすひと夏のミステリーだ。原作はベストセラー作家、東野圭吾さんの同名大ヒット小説。
帝都大学理工学部物理学科の湯川学准教授(福山さん)は海底鉱山資源の開発計画に揺れる町・玻璃ヶ浦の十見人説明会にアドバイザーとして招かれた。滞在先の旅館「緑岩荘」で行きの列車内で出会った少年・恭平(山崎光君)と偶然再会する。恭平はおばの節子(風吹ジュンさん)一家が経営するこの旅館で夏休みを過ごすという。恭平は湯川に興味津々の様子。また、一家の一人娘・成実(杏さん)は開発計画の反対運動に参加していた。湯川が宿泊した翌朝、同じ宿泊客で元刑事の塚原(塩見三省さん)の遺体が岩場で発見される。塚原はなぜ死んだのか。一家の秘密が解き明かされていく……という展開。
事件の真相はそう複雑ではなく、ミステリーとしては多少拍子抜けしなくもないが、人間模様が深く描かれていて引きつけられる。大ヒットドラマのパワーに寄り掛かることなく、映像も物語の展開も繊細で丁寧に描かれている。美しい海の明るい映像と対比されるかのように、事件の鍵を握っている旅館一家の過去のシーンは薄暗く、背後に描かれる事件の予感を観客に少しずつ植え込んでいく。また、旅館の主人役の前田吟さんと過去のシーンで登場する白竜さんのいぶし銀の演技を楽しむ映画でもある。、前田さんはなんていい表情をするのだろう。そして白竜さんにも泣かされた! とはいえ、子ども嫌いの湯川が少年と海辺で遊ぶシーンは、福山ファンでなくともステキと思わせるキラキラした場面だった。そんな“パパ福山”のような表情に、カンヌ国際映画祭で賞をとった福山さん主演、是枝裕和監督の映画「そして父になる」(10月公開)を早く見たくなった。29日からTOHOシネマズ日劇(東京都と千代田区)ほか全国で公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに、単館映画館通いの20代を思い出して趣味の映画を見まくろうと決心。映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。