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「エリジウム」の一場面
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「エリジウム」の一場面

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注目映画紹介:「エリジウム」 ブロムカンプ監督最新作 機械を操作する人間にこそ問題がある

 マット・デイモンさん主演のSF映画「エリジウム」が20日から全国で公開された。ニール・ブロムカンプ監督が脚本も手掛けた。ブロムカンプ監督は長編初監督作「第9地区」(09年)がアカデミー賞で作品賞など4部門にノミネートされ一気に注目を集めた。前作では、自身の故郷である南アフリカ、ヨハネスブルクを舞台に、人間とエイリアンの共存という奇抜なストーリーを描き出した。今作でもそれに引けをとらない斬新なストーリーを展開させ、世紀末的ビジュアルとともに、再び私たちの目をくぎ付けにする。

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 汚染によって荒廃した近未来の地球が舞台。人類はスペースコロニー“エリジウム”に住む富裕層と、地球にとどまるしかない貧困層に二分されていた。地球からエリジウムに“密入国”を図る者はあとを絶たず、エリジウムの防衛長官デラコート(ジョディ・フォスターさん)は、それを一切排除していた。そんな中、地球で暮らすマックス(デイモンさん)は、ある出来事によってエリジウム行きを余儀なくされる……という展開。

 奇をてらったストーリーに感心するとともに、ここにはいくつもの隠喩(いんゆ)や皮肉が込められている。格差社会、再生医療、クーデター、環境破壊、亡命、情報化社会におけるマシンによる管理……。中でも強烈に響くのは、マシンの忠実性だ。つまり、問題は機械ではなく、それを操作する人間にこそあるという指摘がなされている。登場する人々が仏語とスペイン語を話し、英語がすでに公用語でないところも皮肉めいている。

 デラコート役のジョディ・フォスターさんがとにかく怖い。ギスギスした顔にキュッと引き締まったふくらはぎ。ハイヒールをコツコツと音をさせエリジウム内を動き回るその横柄な態度は、「消えてくれ!」といいたくなるほど憎たらしい。対してデイモンさんは、「ジェイソン・ボーン」シリーズで鍛え上げた肉体をここでもフルに活用し、ちょっと悪ぶった、でも根は優しい、幼なじみ思いの男を好演している。20日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

 <プロフィル>

りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションをへてフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。

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