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女優の永作博美さんの主演映画「四十九日のレシピ」(タナダユキ監督)が公開中だ。映画は、亡くなった母親が残したレシピを通じ、心に傷を抱える残された家族の再生を描く物語。不妊治療がうまくいかず、結婚生活が破綻してしまう主人公を演じた永作さんだが、実生活では2児の母。母親になったことで「あきらめることを覚えました」と笑いつつも、「また新鮮だし、面白い」と語る永作さんの、子どもたちとの日常や、年齢を重ねてなお輝き続ける秘訣(ひけつ)に迫った。(毎日新聞デジタル)
永作さんは、6月に出産したばかりの生後5カ月の娘と3歳の息子の2児の母。幼い子どもたちとの日々の生活を「めまぐるしくて叫びたくなることもある」と明かす一方で、「子どもがいるだけで毎日楽しいです」と笑顔を見せる。
また、「自分の時間ややりたいことなど、あきらめることを覚えました」と語る永作さんだが、「いろんなものがあきらめられるようになって、力が抜けて、視野が広くなったような気がします」と再び笑顔になった。「捨てていくことも大事だなって思いました。これまで絶対に必要だと思っていたことが、なくしてみたら意外とたいしたことではなかったっていうのがすごくよく分かった。自分の時間はないし、友だちとも出かけられないし、食事も好きなときに食べられなくなったけど、『別にそれが何?』って。(自分に)これまでになかった違う場所があって、それもまた新鮮だし、面白い」と心境の変化を語る。
さらに、女優としての仕事にもプラスな部分があったといい、「新しい経験をすごい速度で毎日たくさん積んでいます。どんな仕事でも人を豊かにするのは経験だと思うんですが、私は役者は経験が一番だと思っているので、経験を新たに積ませてもらっているのは、本当にありがたいことだと思います」と語る。
40代で育児と女優業という慌しい日々を過ごしながらも、その輝きをさらに増している永作さん。年齢を重ねることについて不安や迷いは「全くない」といい、「私は年をとることが楽しい。今まで分からなかったことがたくさん分かってくるので、すごく面白いです。いろいろなことが今やっと腑(ふ)に落ちて、血や肉になっていってる感じがするんですよね。この先、さらにその方向に向かっているかと思うと、すごく楽しみですね」と瞳を輝かせる。
10年後はどうなっていると思うか、と質問を振ると、「長いようで、意外とすぐですからね。何してるんだろう?」としばし物思いにふけり、「お家のこととかもちょっぴり落ちついて、きっと50代を謳歌(おうか)してると思います」とよどみなく語った。
<プロフィル>
ながさく・ひろみ。1970年10月14日生まれ、茨城県出身。テレビドラマや舞台など、コメディーからシリアスまで幅広い作品に出演。おもな映画出演作に、「ドッペルゲンガー」(2003年)、「空中庭園」(05年)、「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」(07年)、「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」(10年)などがある。11年の「八日目の蝉」では第35回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞ほか、映画各賞を受賞した。11月9日に映画「四十九日のレシピ」が公開されたほか、待機作に14年冬公開予定の「さいはてにて−かけがえのない場所−」がある。