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「大統領の執事の涙」の一場面 (C)2013,Butler Films,LLC.All Rights Reserved
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「大統領の執事の涙」の一場面 (C)2013,Butler Films,LLC.All Rights Reserved

注目映画紹介:「大統領の執事の涙」 実話に基づき7人の大統領に仕えた黒人執事の半生描く

 米国の第34代大統領アイゼンハワーにはじまり、ケネディ、ジョンソン、ニクソン、フォード、カーター、そしてレーガンまで、7人の大統領に仕えた黒人執事の半生を描いた映画「大統領の執事の涙」(リー・ダニエルズ監督)が15日から全国で公開された。主人公のセシル・ゲインズを演じたのは、米アカデミー賞主演男優賞の受賞歴があるフォレスト・ウィテカーさん。ユージン・アレンという実在の人物がモデルになっており、映画はバラク・オバマ大統領が当選した際、「ワシントン・ポスト」紙に掲載された記事が基になっているという。

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 米国南部の綿花畑で奴隷として働いていたセシル・ゲインズ(ウィテカーさん)は、ハウスニガー(家働きの奴隷)、ホテルのボーイをへてホワイトハウスの執事となる。一方、反政府運動にのめり込んでいく長男ルイス(デビッド・オイェロウォさん)、夫の仕事に理解を示しながら寂しさから酒におぼれていく妻(オプラ・ウィンフリーさん)らとの激動の時代を生きたセシルとその家族の物語がつづられていく。

 セシルはハウスニガー時代、女主人から「空気になる」ことを学び、ホテルの給仕時代には上司から「人の心を察する」こと、「黒人は、白人用と本当の顔の二つを持つ」ことを教わる。白人客から蔑まされても従順に謙虚に給仕としての立場を貫き続けた。そんな父を快く思わない長男ルイスは、人種差別に反対する運動に身を投じていく。この父と息子、2人の生きざまを対照的に描いているのがこの作品の持ち味だ。

 アイゼンハワーからレーガンまでの時代、キューバ危機やケネディ暗殺、キング牧師の出現、ベトナム戦争などさまざまな出来事があった。「プレシャス」(2009年)が高く評価されたダニエルズ監督は、歴史そのものより、セシルとその家族が歩んできた道のりを描くことに重心を置き、普遍的なヒューマンドラマに仕立てた。ウィテカーさんの名演技はさることながら、ロビン・ウィリアムズさん、ジェームズ・マースデンさん、ジョン・キューザックさん、アラン・リックマンさんらがそれぞれ特徴をつかみ、歴代大統領を演じているのも見どころだ。彼らを通して当時の大統領の“横顔”が見られるのも興味深い。歌手のマライヤ・キャリーさんやレニー・クラビッツさんも出演。15日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開中。(りんたいこ/フリーライター)

 <プロフィル>

 りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションをへてフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。

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