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注目映画紹介:「アナと雪の女王」 ディズニー長編初のWヒロイン 思いがけないラストが見もの

 今年の米アカデミー賞で長編アニメーション賞と主題歌賞に輝いたディズニーのアニメーション「アナと雪の女王」が14日から全国で公開中だ。ミュージカル仕立てで、しかもディズニー長編アニメ初のダブルヒロインとなる今作は、全米興収3億9300万ドル(399億8000万円)突破(3月9日現在)という数字が物語るように、2人のプリンセスと思いがけないエンディングが見る者の心をとらえる最高にチャーミングな作品に仕上がっている。原案はアンデルセンの「雪の女王」。それを大胆に脚色し、感動のドラマに仕立て上げたのは、「シュガー・ラッシュ」(2012年)でも脚本を担当したジェニファー・リーさん。リーさんは今作ではベテランのクリス・バックさんと共同で監督も務めている。

 アレンデール王国のプリンセスとして生まれたエルサ(声:イディナ・メンゼルさん)とアナ(クリステン・ベルさん)は、仲のいい姉妹だった。ところが、姉エルサが、触れるものを凍らせる“禁断の力”を持っていたことで運命が狂い出す。図らずも、エルサが民衆の前でその力を使ったことで、王国は雪と氷に閉ざされてしまう。“雪の女王”となったエルサは雪山に逃げ込み、愛する姉と王国を救うために、アナは雪山へ旅立つというストーリー。

 期待を裏切らない仕上がりだ。エルサとアナはもとより、民衆や聖歌隊など、大勢のキャラクターそれぞれの表情の豊かさに驚かされたり、「塔の上のラプンツェル」(10年)のときはヒロインの髪の毛の美しさに見とれたが、今回は雪と氷の美しさに魅了されたりする。最近のディズニーのアニメーションは、過去の技術を踏襲しながら進化させ、その一方で、新しいことに挑もうという向上心がうかがえるが、今作ではそれをより強く感じることができる。自分の力に脅えて生きるエルサとおてんばなアナという、対照的な姉妹の描き方にも工夫が凝らされており、また、この手のプリンセスものの王道ではない新鮮な驚きを与えてくれるエンディングも秀逸だ。

 劇中歌われる、軽快なものあり、バラードありの8曲のミュージカルナンバーも、せりふでは語れない心情を豊かに表現している。中でも、アカデミー賞に輝いたメンゼルさんが歌う「Let it Go」は、感動をさらに盛り上げる効果大だ。なお、日本語吹き替え版では、エルサを松たか子さんが、アナを神田沙也加さんが担当している。同時上映は短編「ミッキーのミニー救出大作戦」。3月14日からTOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほか全国で公開中。3D同時公開。(りんたいこ/フリーライター)

 <プロフィル>

 りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションをへてフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。

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