「ローン・サバイバー」の一場面 (C)2013 Universal Pictures
主演作「テッド」(2012年)が大ヒットしたマーク・ウォールバーグさん主演の映画「ローン・サバイバー」が全国で公開中だ。05年、アフガニスタンでの作戦に参加し、壮絶な戦いの末に生還したネイビー・シールズの体験を映像化したもので、隊員の一人をウォールバーグさんが演じている。その他の隊員役で、エミール・ハーシュさん、ベン・フォスターさん、テイラー・キッチュさんが演じており、上官役でエリック・バナさんが出演している。監督・脚本は「バトルシップ」(12年)、「ハンコック」(08年)、「プライド 栄光への絆」(04年)などで知られるピーター・バーグさんが担当している。
米海軍特殊部隊ネイビー・シールズのマーカス(ウォールバーグさん)、マイケル(キッチュさん)、ダニー(ハーシュさん)、マシュー(フォスターさん)の4人がアフガニスタンの山岳地帯に送り込まれる。彼らの任務は、タリバンを監視し、狙撃ターゲットを特定すること。ところが、ある出来事に遭遇した4人は、そこで下した決断によって、200人を超えるタリバン兵の攻撃にさらされることになる。映画は、その3日間の壮絶な戦いを描いていく。
ネイビー・シールズの隊員になれるのは、2年半に及ぶ過酷な訓練を耐え抜いた0.5%のエリートだけだという。その訓練の過酷さをのぞかせる映像が冒頭に流れ、それを見れば、隊員同士が固い絆で結ばれているのも当然という気にさせられる。4人の生死は最初の方で分かってしまうが、そのことが今作における感動を妨げる要因にはならない。むしろ、だからこそ序盤で彼らが戯れる姿が胸にぐっと迫ってくるのだ。爆撃シーンや、隊員たちが崖から転げ落ちる場面など、一体どうやって撮ったのだろうと驚かされる部分がたびたびある。中には、顔をしかめたくなるような“痛い”映像もあるが、舞台が前線というだけで、感情に訴える要素は、青春映画やヒューマン作となんら変わりない。エモーショナルなBGMが感動をさらにあおり、エンドロールには実際の隊員たちの映像が流れ、ダメ押しとばかりに涙腺を刺激する。戦争映画の枠組みを超えた“男のドラマ”を強く意識させる作品だ。21日からTOHOシネマズ六本木ヒルズ (東京都港区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションを経てフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。