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ブロック玩具「レゴ」の世界観を3Dアニメーションで描いた初の長編映画「LEGOムービー」(フィル・ロード監督、クリストファー・ミラー監督)が公開中だ。今作は、レゴブロックの世界観を基に、監督と脚本を「くもりときどきミートボール」のロード監督とミラー監督が担当。平凡で生まじめな主人公・エメットがひょんなことから伝説のヒーローと勘違いされ、邪悪な暴君に立ち向かうために大冒険に出る。日本語吹き替え版では、エメット役をトム・クルーズさんなど数多くのハリウッドスターの吹き替えや特撮ドラマ「獣電戦隊キョウリュウジャー」のトリン役で知られる森川智之さん、山寺宏一さん、沢城みゆきさんら8人の声優が150以上のキャラクターをすべて吹き替えた。日本語吹き替えの監修は放送作家の鈴木おさむさんが担当している。
レゴブロックで作られた都市ブロックシティーで働くエメット(声・森川さん)は、どこにでもいる普通の青年。ところが、ワイルドガール(声・沢城さん)と出会ったことでなぜか伝説のヒーローである“選ばれし者”に間違われ、レゴワールドを支配するおしごと大王(声・山寺さん)から世界を救わなければならなくなる。困惑するエメットをよそに謎のグループに迎えられ、バットマン(声・山寺さん)や長老ウィトルウィウス(声・羽佐間道夫さん)らと冒険の旅に出る。ヒーローの自覚も覚悟もまったくないエメットだが、世界の終わりが3日後に迫り……という展開。
コンピューターグラフィックス(CG)で表現されたレゴブロックで造形された世界は、子供のころに夢見たようなレゴワールドを再現。CGながらあえてストップモーションアニメ風の映像に仕立てる遊び心が憎い。映画に出てくる建物や乗り物などは、実際のレゴブロックを使って組み立てることが理論的に可能だというのだから驚きだ。一見、子供向けだが、エメットの住む街が“マニュアル”に支配され毎日同じ行動をすることが決められていて住人は何も疑問を抱かないといった設定は、現実社会を反映したかのようで、風刺も利いていて大人も楽しめる。ストーリーの進行に合わせ次々と変化していくレゴブロックの造形物に目を奪われ、テンポのよさと随所に盛り込まれた笑いのエッセンスが絶妙だ。シュールな笑いもあり、大人も飽きさせない。好みが分かれるクライマックスだが、クスッとさせられながらもほろりときて、思わず膝を打つような内容でも楽しませてくれる。実力派声優8人で150人以上を担当したという吹き替え版は、ベテラン声優陣の力量が光っている。新宿ピカデリー」(東京都新宿区)ほか全国で2D、3Dで公開中。(遠藤政樹/フリーライター)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。