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注目映画紹介:「オール・ユー・ニード・イズ・キル」タイムループする主人公 映像の力を実感

 トム・クルーズさん主演の映画「オール・ユー・ニード・イズ・キル」が全国で公開中だ。日本人作家・桜坂洋さんのライトノベルを「ボーン・アイデンティティー」(2002年)で知られるダグ・ライマン監督が映画化した。同じ1日を繰り返し生きる“タイムループ”にはまってしまった主人公が、愛する人を守るために未知の侵略者との戦いに身を投じていく姿を描いている。

 舞台は近未来。謎の侵略者“ギタイ”の攻撃によって世界が危機に瀕し、米軍のメディア担当ウィリアム・ケイジ少佐(クルーズさん)は最前線に送り込まれる。戦闘経験などないケイジは、開戦5分であっけなく命を落とすが、次の瞬間目覚めると、それは出撃前日。どうやらタイムループにとらわれてしまったようだった。ループを繰り返す中でケイジは、女性兵士リタ・ヴラタスキ軍曹(エミリー・ブラントさん)と出会う……という展開。

 生き残るためにはどうすればいいのか……。ループを繰り返す中で、ケイジとリタはその方法を探り続ける。それは、何歩進み、その後、どちらの方向に歩けばいいのか、という細部にまでわたる。ケイジはそれをリタとともに頭と体にたたき込んでいく。しかし、わずかな失敗が死につながる。少し前進してはまた元に戻り……という目もくらむような体験をライマン監督はシャープな映像で見せていく。活字ではなかなかイメージしづらかったギタイ(映画では、それは恐ろしく気持ちが悪い)や起動スーツ、さらに戦いのシークエンスがスクリーンに鮮明に映し出され、改めて映像の力を実感させられた。リタはたくましく、ケイジは「指を切っただけで失神する」と自分でいうほどの“ヘタレ男子”。ここでのクルーズさんは“あの無敵のトム・クルーズ”でなく、むしろブラントさんの方がヒーロー然としている。2人の間にはロマンスも生まれるが、決してロマンチックなものではなく、クールに描かれている点も好感が持てた。映画は4日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開中。3Dも同時公開。(りんたいこ/フリーライター)

 <プロフィル>

 りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションをへてフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。

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