「メアリーと秘密の王国」 の一場面 (C)2013 Twentieth Century Fox Film Corporation.All Rights Reserved.
世界中で大ヒットした劇場版アニメ「アイス・エイジ」(2002年)のクリス・ウェッジ監督が手掛け、世界52カ国でトップ10入りを果たした劇場版アニメ「メアリーと秘密の王国」が18日から全国のイオンシネマで公開される。突然、体が小さくなってしまったヒロインが、森の未来を守るために悪の勢力と戦うファンタジーアドベンチャーだ。アクションがふんだんに盛り込まれ、森の中の生き物たちの息吹が感じられる作品に仕上がっている。
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森に“小さな人”が住んでいると信じ、研究に没頭する父と暮らすために、彼の元を訪れたメアリー(声・高垣彩陽さん)は、森の中で小さな女性が倒れているのを見つける。“秘密の国”の女王(声・本田貴子さん)だというその女性が手にしていた花のつぼみをメアリーが手にした瞬間、メアリーの体はみるみる間に縮んでしまう。女王の兵士“リーフマン”から、そのつぼみが悪の勢力“ボーガン”の手に渡ると森が滅びると聞いたメアリーは、リーフマンの隊長ローニン(声・小山力也さん)や若い兵士ノッド(声・小野大輔さん)らとともに、森を守るために戦うことを決意する……というストーリー。
小人の世界や“森の中の住人”たちを描いた作品はめずらしくないが、それでも今作に引き込まれるのは、メリハリの利いた映像の圧倒的な美しさと、森の中に住む生き物たちの表情の豊かさのお陰だ。リーフマンが守る森は明るい色彩にあふれ、ボーガンが暮らす“腐敗の島”は灰色に覆われ鬱々(うつうつ)としている。両者の戦いにはアクションがふんだんに盛り込まれ、スピード感と迫力がある。その一方で、つぼみの管理役のナメクジやカタツムリなど、ユニークな脇役たちが実にチャーミングで、メアリーが未知の世界に足を踏み入れてしまったときの戸惑いと楽しさが伝わってくる。単なるファンタジーで終わらせるのではなく、自然の大切さにまで触れているところにも好感が持てる。プロの声優による日本語吹き替え版のみの上映だが、字幕を気にしなくていい分、映像と物語に没頭できた。なお、オリジナル版で女王の声を担当した米歌手のビヨンセさんが、主題歌「Rise Up」で、映画のためだけの歌声を披露している。全国のイオンシネマで18日から公開。(りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションをへてフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。
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