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女優の鈴木京香さんの主演映画「救いたい」が、全国公開中だ。映画は、鈴木さんの出身地・宮城県の東日本大震災から3年後の現状を描いた物語。「宮城県出身だからこそ、中途半端にはできないという思いがありました」と強い思いを語り、「実際、現地でロケをさせていただいて、地元の皆さんと触れ合いを重ねたことが私にとってありがたい思い出となりました」と語る鈴木さんに、宮城ロケの思い出や地元愛について聞いた。
◇ロケには幼なじみも参加
「救いたい」は、仙台医療センターの麻酔科医・川村隆枝さんのエッセー「心配ご無用 手術室には守護神がいる」が原作。仙台の病院で麻酔科医長を務める川島隆子(鈴木さん)と、震災後に仙台の病院を休診して地域医療を立ち上げた医師で夫の貞一(三浦友和さん)を中心に、震災から3年たった宮城で前向きに生きようとする人々の姿が描かれている。「ハチ公物語」「ひめゆりの塔」「ラストゲーム 最後の早慶戦」などの名匠・神山征二郎監督がメガホンをとった。
鈴木さんは宮城県に生まれ、大学まで地元で過ごした。今回のロケ地となった宮城県では「私の学生時代の知り合いがエキストラで参加してくれました。実際の自衛隊の方も出演してくださったんですが、それが小学校時代の同級生だったり。私が育った場所に帰って映画を撮らせてもらっているという気持ち、そしてせっかく地元で撮影させてもらっているんだから、宮城の良さを伝えたいという気持ちになりました」と並々ならぬ思いを語る。
◇震災後の復興は「まだまだ」
鈴木さんは、津波が襲った被災地にも震災後に訪れた。そして今回、再び訪れた現地の印象を「小さい頃、海水浴で訪れたなじみのある場所です。震災直後よりはだいぶ生々しさみたいなものは消えている印象を受けました。家や木々が植えてあったところがただの草原のようになっていたので。かつての景色を知らない方にはそんなに分からないことだとは思うんですが、でも実際は全く違う状況のままです。整備の途中で少しずつ変わってきてはいるけれど、元に戻るというのはまだまだ先かと思うと胸が痛みます」と心情を明かす。
一方で「震災後、3年でこうやってロケ撮影をさせていただけるのは素晴らしい復興の速さなんだと思います」といい、「宮城県出身である私が演じることは、プラスアルファを求めてくださったんだと思いますし、責任というか、やるからには今の現状をしっかり伝えていかなくてはいけないという思いがありました」と強いまなざしで語る。
◇地元で感じた宮城県民らしさ
宮城県でのロケは約1カ月間。鈴木さんは「短い時間ではありましたが、地元の方々と触れ合いを重ねることができて、ありがたい時間でした」と話す。
劇中で多用される宮城弁に他県出身の三浦さんは不安を抱いていたというが、地元のエキストラの人々は「『おかしい』というのではなくて、『それでいいですよ。そう言ってくれるだけで私たちうれしいですよ』って。何回か『これでいいんですか?』って聞いたそうなんですが、みんな『お上手です』と。何か、それが宮城県人っぽいなって私も思ったんですよね」と少し遠慮がちで温かい県民性を語る。
◇いつかは宮城弁の「方言指導がしたい」
地元出身ながら、役どころが原作者の川村さんをベースにした島根県出身の女性のため、今回は方言を"封印”した鈴木さんは「方言の仕事は大好きなので、話したかったんですけどね……」と残念そうな表情。「でも、また他の作品でそういう機会もあるでしょうし、方言に関しては長いスパンできちんと演じていきたい。いつか方言指導ができるようなくらい方言をちゃんと勉強したいなと思っています」と地元愛をのぞかせた。
そして、今作について「大変な状況の中、一歩一歩前に進んでいる現状を一人でも多くの方に見ていただけたら。監督の思い、キャストの思い、原作者の思い、地元のみんなの思いが少しずつでも皆さんの記憶に残りますように、と願っております」と強い思いを語った。
◇プロフィル
すずき・きょうか。1968年生まれ、宮城県出身。1989年に映画「愛と平成の色男」で女優デビュー。91年にNHK連続テレビ小説「君の名は」でヒロインを演じて一躍注目される。2004年の映画「血と骨」で第28回日本アカデミー賞最優秀女優賞を受賞。その他の主な映画出演作に「ラヂオの時間」(97年)、「釣りバカ日誌13 ハマちゃん危機一髪!」(02年)、「男たちの大和/YAMATO」(05年)、「沈まぬ太陽」(09年)、「セカンドバージン」(11年)、「清須会議」(13年)などがある。