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「トラッシュ! この街が輝く日まで」のワンシーン  (c) Universal Pictures
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「トラッシュ! この街が輝く日まで」のワンシーン  (c) Universal Pictures

注目映画紹介:「トラッシュ! この街が輝く日まで」 子供がたくましいダルドリー監督最新作

 「リトル・ダンサー」(2000年)や「めぐりあう時間たち」(02年)のスティーブン・ダルドリー監督の最新作「トラッシュ! この街が輝く日まで」が9日から公開される。リオデジャネイロのスラム街に住む3人の少年たちが、街に奇跡を起こすストーリー。ゴミの山から拾った財布に隠された謎を追いながら、権力に立ち向かう少年たちを描いた痛快な作品。

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 ブラジルのリオデジャネイロ郊外。やんちゃなラファエル(リックソン・テベスさん)と賢いガルド(エデュアルド・ルイスさん)と心優しいラット(ガブリエル・ウェインスタインさん)は、ゴミの山からお金になりそうなものを回収して生活をしていた。ある日、ラファェルはゴミの中から財布を拾った。中身は、お金、IDカード、ポケットカレンダー、少女の写真、アニマル・ロトのカード、コインロッカーの鍵。警察が財布を捜索し始め、少年たちの住むスラムにもやって来る。何か特別な財布であることを感じた3人は、財布の中にあった鍵に合うコインロッカーを探り当て、一通の手紙と数字が書かれたメモを手に入れる。しかし、少年たちを追ってきた警察により、3人は窮地に陥る。保護者代わりのジュリアード神父(マーティン・シーンさん)とボランティアのオリビア(ルーニー・マーラさん)の力を借りながら、少年たちは街の不正に立ち向かう……というストーリー。

 ミステリーっぽい始まり方で、財布を少年たちが偶然手に入れる。彼らは社会の最底辺で生活しているが、持って生まれた知恵と勇気と優しさがあって、彼らを見守る神父やボランティアの導きによる“正しい心”を持っていた。少年たちは立ち上がり、権力で街を牛耳る大人たちを相手に戦う。ロトカードに秘められた謎を解きながら、子どもならではのすばっしこさで追っ手を交わしていく様子がスピーディーで、まるで猛獣に追われる小動物のようなハラハラ感だ。アクションもたっぷりで痛快。一貫して少年を描いてきたダルドリー監督が、無名の3人に子どものたくましさを託し、スクリーンは躍動感でいっぱいになる。スラムに住む子どもたちの日常を描いた「シティ・オブ・ゴッド」(02年)のフェルナンド・メイレレスさんが製作総指揮を務め、格差社会が広がる街をリアルに描いている。TOHOシネマズスカラ座/みゆき座(東京都千代田区)ほかで9日から公開。(文・キョーコ/フリーライター)

 <プロフィル>

 キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。ダルドリー監督の「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」(11年)が大好きです。

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