門脇麦：「愛の渦」で話題　注目の若手演技派俳優の素顔

　着衣しているのが18分間だけという過激な内容の映画「愛の渦」でヒロインを演じ話題を集めた女優の門脇麦さんが、18日からWOWOWで放送される渡部篤郎さん主演のドラマ「翳（かげ）りゆく夏」に出演する。国内の各映画賞で新人賞にノミネートされるなど、若手演技派俳優として注目を集める門脇さんは、“演技派”といわれることについて「たまたま注目を浴びるような機会をいただいたがゆえに、そういうふうになってしまったと思うんですけど、全くもって大きな勘違い。『愛の渦』が終わってから、不安を覚えていた……」と意外な心境を告白。今後の目標や出演するドラマについて聞いた。

　◇「愛の渦」出演後の葛藤

　門脇さんは映画「愛の渦」について、「自分にとって間違いなくすごく大きな作品になった」と表現する。同作では、地味で清楚（せいそ）に見えて実は性欲が強いという女子大生を演じたが、「自分でもびっくりするくらい愛情を注ぎ込んだ作品で、自分の中にこういう熱い部分があったんだなと気づいた」としみじみと語る。一方で、大きな注目を集める作品だったことから、「作品のイメージも強かったので、背負っている役から脱出しなきゃというところが自分の中ですごくあった。あまりにも自分（の中）に何もなさすぎて、がっかりされるっていうことに不安を覚えていた」と葛藤があったことを明かす。

　しかし、自身の中に変化もあった。「とりあえず何もできないけれど、ごめんなさい、一生懸命頑張りますっていう精神で、一つずつやっていけたら」と前向きになったといい、映画「シャンティ　デイズ　365日、幸せな呼吸」の撮影からスタートした昨年は、「新しいことに挑戦した1年だったという感じがすごくあります。（『愛の渦』のことを）あんまり気にしなくていいやと思えた1年だった」と充実した表情を見せる。

　◇こだわりは「カメラ前で何も考えない」

　今回のドラマ「翳りゆく夏」は、「第49回江戸川乱歩賞」を受賞した作家・赤井三尋さんの小説（講談社文庫）が原作で、元敏腕新聞記者（渡部さん）が、20年前に起きた新生児誘拐事件の真相を追う姿を描く作品。元AKB48で女優の前田敦子さんが風俗店従業員で出演するほか、時任三郎さん、菅田将暉さん、岩松了さん、滝藤賢一さんらも出演。新生児誘拐事件の犯人の娘で、東西新聞に内定している大学生・朝倉比呂子を演じる門脇さんは、「つらい過去や宿命を背負っているんですけど、未来に向かってまっすぐ進んでいこうとしている女子大生」と役どころを紹介する。

　門脇さんは「結局やっているのは私自身なので、役になり切る感覚が正直分からない」と率直な思いを告白する。演じる人物がどういう姿勢でいるのか、よくする表情はどういう顔なのかなどを想像し、準備をするというが、「気づくと何も考えていなくなっています。カメラ前で何も考えなくてもいいのが一番いいとは思っています」とこだわりを語る。撮影現場は「和気あいあいとして楽しい」といい、初共演の前田さんについては、「もともと好きだったんです。（AKB48の人気曲）『ポニーテールとシュシュ』とかのPVをずっと見ていました。若いっていいなあって、泣けてくるんです」と意外な素顔を明かす。

　◇撮影後は「映画館に行きたくなる」

　「基本的になまけ体質」と自身を表現する門脇さんは、「（出演するのが）暗い作品のときは、自分を追い込むために、わざと楽しいことは遮断します」とストイックな一面も。大好きな映画を見にいくことをやめたり、友人との外食もやめるというが、撮影終了後の自身について「心のエネルギーを使い果たして、本当にカッスカスになっている……」と話す。撮影現場があまりにも大変だと、「一体自分は何をやっているんだろうって思う」こともあるというが、「映画館に見にいって、いい作品と出合っちゃったなっていう瞬間があったりすると、頑張ろうっていう気持ちが湧いてくる」と笑顔を見せる。

　今後の目標は、「あんまりこういうふうになりたいと決めると、どうしても視野が狭まってしまって、チャンスに柔軟に対応できなかったり、全力を注げなかったりすることがあると思うので、あんまり決めずに、ふわふわと、やるところはちゃんとやるっていう感じでやっていけたら」と掲げる。同ドラマについては、「脚本も面白いですし、とても丁寧に作られていると思います。流し見するドラマでなく、映画を見るように見られるドラマ。楽しんでいただけたら」とアピールした。ドラマは、WOWOWプライムで18日から毎週日曜午後10時放送。全5話。第1話は無料放送。

　＜プロフィル＞

　かどわき・むぎ　1992年8月10日生まれ。2011年のデビュー後、エーザイ「チョコラBB Feチャージ」のテレビCMが話題に。ドラマ「美咲ナンバーワン！！」（日本テレビ系）で女優デビューした後、数々の映画・ドラマ・舞台などで活躍。13年、東京ガスのCM「ガスの仮面」シリーズのバレエ少女で注目を集め、14年には、映画「愛の渦」、「シャンティ　デイズ　365日、幸せな呼吸」が公開。ドラマ「ブラック・プレジデント」などにも出演した。