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「脳内ポイズンベリー」のワンシーン (C)水城せとな/集英社(C)2015 フジテレビジョン 集英社 東宝
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「脳内ポイズンベリー」のワンシーン (C)水城せとな/集英社(C)2015 フジテレビジョン 集英社 東宝

注目映画紹介:「脳内ポイズンベリー」五つの思考が脳内会議 真木よう子主演のラブコメディー

 真木よう子さん主演の映画「脳内ポイズンベリー」(佐藤祐市監督)が9日から全国で公開される。携帯小説家のアラサー女性が、年下と年上、2人の男性との関係に悩みながら、自身の生き方を見つけていくまでを描くラブコメディーだ。水城せとなさんの同名マンガが原作。人の頭の中には思考を司る“小人たち”が“住んで”いて、彼らの“脳内会議”によって、その人物の言動が決まるというのだから、なんとも突飛なストーリーだ。しかし映画を見ていると、自分の頭の中にもこんな小人たちがいるに違いないと思えてくるから不思議だ。

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 携帯小説家の櫻井いちこ(真木さん)はある日、以前飲み会で顔を合わせた年下のアーティスト、早乙女(古川雄輝さん)と再会する。戸惑いながらもときめきを覚えるいちこ。そのとき彼女の頭の中では、「理性」担当で議長の吉田(西島秀俊さん)、「ポジティブ」担当の石橋(神木隆之介さん)、「ネガティブ」担当の池田(吉田羊さん)、「記憶」担当の岸さん(浅野和之さん)、そして「衝動」担当のハトコ(桜田ひよりさん)による“脳内会議”が開かれていた。一方、いちこを担当する年上の編集者、越智(成河=ソンハ=さん)は、どうやらいちこに気があるようで……というストーリー。

 いちこが何か決断をしようとするたびに、頭の中にいる五つの思考がああだこうだと議論を繰り広げるが、ネガティブなくせにバシバシとものをいう池田のパワーのすごさ、ポジティブ担当の石橋の極端なほどの能天気ぶり、そんな2人の意見に翻弄(ほんろう)されまくりの、議長とは名ばかりの理性担当・吉田の狼狽(ろうばい)ぶり。さらに、記憶担当の岸さんはどこまでも冷静で、衝動担当のハトコはどこまでも感情に正直で……と彼らが繰り広げるてんやわんやの“脳内会議”はとにかく愉快だ。その一方で、いちこが早乙女との“初デート”で入った店で、その店の“テーマソング”が絶妙のタイミングで流れたり、吉田のめがねにこれまた絶妙のタイミングでピシッとひびが入ったりと、“ここぞ”というところで笑いのツボを刺激してくる佐藤監督の演出力には感服。さらに、赤いニット帽をかぶり、ほわっとした風貌でキュートなコメディエンヌぶりを発揮していたかと思うと、驚くようなコスチュームで現れ、全く異なる表情を見せる真木さんの“ひとり2役”が見られるのも今作の大きな魅力だ。9日からTOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほか全国で公開。 (りんたいこ/フリーライター)

 <プロフィル>

 りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションを経てフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。

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