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女性画家べルト・モリゾの人生を美術史とともに描いた映画「画家モリゾ、マネの描いた美女~名画に隠された秘密」(カロリーヌ・シャンプティエ監督)が13日に公開される。仏画家エドアール・マネの作品「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」のモデルとして知られるモリゾは、印象派の誕生に関わるなど自身も画家として活動。映画では、モリゾがマネと出会い、一人の女性として成長していく姿が描かれる。女性、そして画家というそれぞれの立場で揺れる心情に加え、数々の名画の紹介やその制作秘話なども興味深い。
1865年、パリ16区に暮らす女性画家ベルト・モリゾ(マリーヌ・デルテリムさん)は、サロンへの入選を目指し作品作りに取り組んでいた。ある日、すでに美術界では名をなしていたマネ(マリック・ジディさん)と出会い、モデルを依頼されたモリゾは、マネのアトリエに通うようになり……というストーリー。
モリゾは、最近の研究で印象派の誕生からの中心人物として発展に深く関与してきたことが分かり、美術史においてその重要性が評価されはじめている。一般的には名画のモデルという印象が強く、モリゾ自身については謎が多いが、実話を基にモリゾの実像をひもといていくさまは興味深い。映画はとてもシンプルな構成で、モリゾの視点で印象派の誕生の瞬間を語りつつ、夢や仕事と結婚の間で悩む女性の姿も描かれ、時代や世代を問わないテーマに共感が持てる。さらにキーマンの一人であるマネの作品も数多く登場し、制作秘話も盛り込まれるなど、美術ファンにはたまらない場面も。モリゾの苦悩と成長を描いた人間ドラマの深みと、名画のバックボーンを彩るエピソードを、優雅で流麗な雰囲気をかもし出す映像とともに酔いしれたい。YEBISU GARDEN CINEMA(東京都渋谷区)ほか全国で順次公開。(遠藤政樹/フリーライター)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。