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注目映画紹介:「インサイド・ヘッド」思春期の脳内で巻き起こる冒険ファンタジーに浮かぶ親心

 ディズニー/ピクサーの長編アニメーション20周年記念作品「インサイド・ヘッド」(ピート・ドクター監督)が18日に公開される。11歳の少女の頭の中にある擬人化された感情たちが巻き起こす冒険ファンタジーで、「モンスターズ・インク」(2001年)、「カールじいさんの空飛ぶ家」(09年)のドクター監督が手掛けた。日本語吹き替え版の声優を女優の竹内結子さんや大竹しのぶさんらが務める。

 11歳のライリーは、住み慣れた米ミネソタを離れ、サンフランシスコに一家で引っ越してきた。頭の中には、ヨロコビ、イカリ、ムカムカ、ビビリ、カナシミがいて、ヨロコビはライリーが幸せな気分でいられるようにと奮闘し、カナシミの役割は謎に包まれていた。友達のいない街で不安定な気持ちを抱えるライリーの頭の中で、ある日、ヨロコビとカナシミが頭の中の「司令塔」から放り出され、巨大迷路のような思い出保管庫に迷い込んでしまう。二つの大切な感情を失ったライリーは、両親の心配をよそにどんどん自分の殻に閉じこもっていく。ヨロコビとカナシミは司令塔へ無事帰ることができるのか……という展開。

 人は誰もが無邪気な子ども時代に終わりを告げ、違った自分に変化をしていく複雑な思春期を迎える。ライリーの頭の中には、五つの「感情」がいて、騒がしくおしゃべりを繰り広げる。色とりどりのボール状の思い出をしまう場所、ライリーをかたちづくる“性格の島”、潜在意識の深い谷底もあって、広い脳内宇宙の冒険の旅路が描かれる。一方で、ライリーの日常がはさみ込まれ、キャラクターには、ブルーな気分に包まれた彼女の表情が繊細に描き込まれている。現実世界のこちら側と、ファンタジックなあちら側を行き来させるストーリーは、いかにもピクサーらしい夢のある描写で、感情たちはライリーの成長と共にあり、彼女の幸せのために奮闘しているのだが、それはそのまま、子を持つ親の気持ちにもつながっている。娘を持つドクター監督の体験が作品の出発点になったという。娘の心が危機に見舞われるとき、親も同じ気持ちになるもの。とりわけヨロコビは母親そのものだ。でも、カナシミも加わってこそ人生なのだといわんばかりの試練が与られ、二つの感情がどう危機を乗り越えていくかが今作の見どころだ。睡眠中の夢を作るスタジオに心が躍り、子どもの頃の空想の世界が消えゆくさまには心がチクチクした。TOHOシネマズ六本木ヒルズ(東京都港区)ほかで18日から公開。(キョーコ/フリーライター)

 <プロフィル>

 キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。今作で一番泣けたのは、「ビンボン~!! そんなあ~!!」ってところでしたね(映画館で確認してください)。

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