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ジョージ朝倉さんのマンガを映画化した「ピースオブケイク」(田口トモロヲ監督)が5日から公開される。主人公を多部未華子さん、その恋愛相手を綾野剛さんが演じる。恋に悩みながらも進んでいく女子の等身大ラブストーリーが思いっきり展開されていく。
梅宮志乃(多部さん)は25歳。恋人のドメスティックバイオレンス(DV)から逃れて、職場をやめて心機一転。引っ越したその夜、アパートの隣人の男性・菅原京志郎(綾野さん)の笑顔に一目ぼれする。志乃は友人の天ちゃん(松坂桃李さん)が働くレンタルビデオ屋に就職すると、偶然にも店長が京志郎だった。しかし、京志郎には同居している彼女、あかり(光宗薫さん)がいて、志乃はあっさり振られてしまう。ところが、あかりが姿を消してしまい、落ち込む京志郎。志乃は複雑な思いを抱きながらも、ここはチャンスと思ってアタックをする……という展開。
ヒロインが揺れ動く自分の恋愛体質に悩みながらも少しずつ成長していく姿が、独白を使いながらコミカルにつづられていく。女性の本心をのぞき見ることができて面白い。流されるがままに恋愛をしてきた志乃が、本当の恋をどう成就していくかも見ものだ。俳優でもある50代の田口監督が手がけているお陰で、客観的な視点が入り、ヒロインをはじめとする若い世代の頑張る人たちを見る目が温かく、エールを送っているかのようだ。ヒロイン役の多部さんは、揺れ動く気持ちを繊細に表現している。また、綾野さんもどこか抜けているのに憎めないキャラクターを演じ、こんな人、実際にいるかもと思わせる。自分や相手を疑ったり、虚勢を張ったり、恋愛の美しくない部分もさらけ出す。2人がケンカするシーンの演技に圧倒され、ここが最大の見どころとなった。
本気で人を好きになるのはカッコ悪くてカッコいい。「色即ぜねれいしょん」(2009年)などの青春映画を作った田口監督らしい作品だ。田口組に欠かせない「銀杏BOYZ」の峯田和伸さんが劇団の座長に扮(ふん)し、原作者の朝倉さんが作詞した歌を劇中で披露している。主題歌は加藤ミリヤさんが担当した。5日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほかで公開。(キョーコ/フリーライター)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。志乃ちゃんの植物を枯らす体質に共感しました。