「EDEN/エデン」のワンシーン (C)2014 CG CINEMA-FRANCE 2 CINEMA-BLUE FILM PROD-YUNDAL FILMS
フレンチハウスの黎明(れいめい)期をテーマにした映画「EDEN/エデン」(ミア・ハンセン・ラブ監督)が5日に公開される。1990年代のフランスを舞台に、音楽シーンを駆け抜けた一人のDJの夢と挫折を描く青春映画だ。「あの夏の子供たち」でカンヌ映画祭の「ある視点」部門で審査員特別賞を受賞したミア監督がメガホンをとり、脚本を担当する実兄で小説家のスベン・ハンセン・ラブさんを主人公ポールのモデルにしている。主人公のほろ苦いストーリーだけではなく、エレクトロデュオ「ダフト・パンク」が誕生する様子を実際のエピソードを交えながら描くなど、90年代パリの音楽シーンの熱気が再現されている。
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大学生のポール(フェリックス・ド・ジブリさん)は親友とDJデュオ「Cheers」を結成すると、すぐにパリのクラブシーンで人気を集める。成功したことに酔いしれ、仲間と楽しい時間を過ごすポールだったが、酒やドラッグに手を出すようになるなど私生活がすさみ始める。借金をくり返し、恋人との関係も破綻してばかりのポールは、次第に音楽を生み出すことにも行き詰まりを感じるようになり……というストーリー。
今作は主人公の波瀾(はらん)万丈な生き方を十数年にわたって描き、音楽に命を懸け続けたがゆえの栄光や挫折を浮き彫りにする。音楽映画ではよく見られる展開なのだが、そこに誰もが過ごしたであろう“あの頃”のはかなさや興奮を痛いほどに実感させてくれ、そこが他の音楽映画とは一線を画している。さらに、ダフト・パンクの活躍、成長という要素を盛り込み、主人公と対比的に描いている部分も興味深く、クラブミュージックの進化や実際のムーブメントをかいま見ることができる。劇中に流れる多彩なBGMも聴き応え十分。ただし、映画に登場する楽曲の数々や、特定のキーワードなどの細かい説明がないため、予備知識がないといまいちピンとこないかもしれない。だが、主人公のぶれないスタンスや時の流れの切なさなどが、人生を考えるきっかけになるのではないだろうか。新宿シネマカリテ(東京都新宿区)ほか全国で順次公開。(遠藤政樹/フリーライター)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。
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