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英国出身でアカデミー賞俳優のコリン・ファースさん主演のスパイ映画「キングスマン」(マシュー・ボーン監督)が11日から公開される。マーク・ミラーさんによるグラフィックノベルをボーン監督が脚色し映像化した。ボーン監督といえば、「キック・アス」(2010年)での過激なアクションが思い浮かぶが、今作にもそれと同様の、いやそれ以上の度胆抜くアクションと展開が待ち受けている。
ロンドンのサビル・ロウにある高級テイラー「キングスマン」は、実はどの国にも属さない国際的秘密諜報機関だった。メンバーの一人、ハリー(ファースさん)は、リーダーのアーサー(マイケル・ケインさん)の司令で新人をスカウトすることに。ハリーが目を付けたのは、街の若者エグジー(タロン・エガートンさん)。実はハリーとエグジーには浅からぬ因縁があった。一方、環境保護を訴える活動家でIT富豪のバレンタイン(サミュエル・L・ジャクソンさん)は前代未聞の人類抹殺計画を企てていた……というストーリー。
英国のスパイ映画といえば「007」シリーズが思い浮かぶが、今作におけるアクションの切れ味と意外性は、それをかるーく超えている。映画は、バレンタインのテロ計画を阻止しようと奮闘するハリーたちスパイの活躍と、スパイとしてスカウトされたエグジーが、他の候補生たちと繰り広げるし烈な競争の2本柱で進む。つまり、スパイドラマと若者の成長ドラマの二つの方向から楽しめるわけだが、映画を貫いているのは、非常識とすらいえる過激な描写だ。その過激さは、両足が義足のめっぽう強い女殺し屋ガゼル(ソフィア・ブテラさん)が登場するオープニングからすでに全開で、その後も途切れることなく続き、「スター・ウォーズ」ファンにはおなじみのマーク・ハミルさんのような懐かしの俳優にも容赦しない。その“潔さ”には、崇高さすら覚える。コウモリ傘に始まるスパイグッズが、いかにも英国紳士的なのもしゃれている。ファースさんのスパイ役が結構なはまりようで、その想定外のカッコよさと、ラッパー風のいでたちで悪人臭をまき散らすジャクソンさんの怪演も特筆すべき点だ。続編の製作がうわさされているが、ぜひ見てみたい。11日からTOHOシネマズ日本橋(東京都中央区)ほか全国で公開。 (りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションを経てフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。矢沢永吉さんの6年ぶりの東京ドーム公演に行ってきました。アンコール恒例の“タオル投げ”曲「止まらないHa~Ha」をオープニング2曲目で歌ったり、会場内をバイクで1周したり、さらに娘・矢沢洋子さんがコーラスに参加したりとサプライズいっぱいの内容でしたが、ともかくやっぱり“永ちゃん”は輝いていました。