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スコットランド出身のベテラン俳優ビリー・コノリーさんと、「ゴーン・ガール」(2014年)で驚きの演技を見せたロザムンド・パイクさんが出演する英国コメディー映画「海賊じいちゃんの贈りもの」(アンディ・ハミルトン、ガイ・ジェンキン監督)が10日から公開される。小品ながら上品で愉快で愛らしい作品だ。子役3人の愛嬌(あいきょう)のある演技を見ているだけで心が和む。
祖父ゴーディ(コノリーさん)の75歳の誕生日を祝うために、父(デビッド・テナントさん)と母(パイクさん)に連れられ、スコットランドのハイランドにあるゴーディの自宅を訪れた長女ロッティ(エミリア・ジョーンズさん)、長男ミッキー(ボビー・スモールブリッジ君)、次女ジェス(ハリエット・ターンブルちゃん)の3人の子供たち。彼らは、両親や成金のおじ(ベン・ミラーさん)と精神不安定な彼の妻(アメリア・ブルモアさん)ら大人たちの険悪な空気を気にしながらも、自分たちを連れ出してくれたゴーディと浜辺で楽しい時を過ごす。ところが、そんな彼らを突然の悲劇が襲い……という展開。
子供たちの純真さと老人の達観が、迷える大人たちを導いていく。悲劇に遭遇したときの子供たちの“ある行動”にはびっくりさせられたが、ともかく、なんでも手帳に書き留めていくメモ魔の9歳のロッティ、おじいちゃんがバイキング(海賊)の子孫と知り、冒険心を燃え立たせる6歳のミッキー、そして、石が“友達”で、気に入らないことがあると息を止めて抗議する4歳のジェスの3人の子供たちが実にユニークで愛らしい。大人たちを翻弄(ほんろう)しながら、しかし、やることなすこと言うことすべてが核心をついている。そんな彼らに、説教めいたことを言うわけでもなく、あくまで常識の範囲で人生の楽しみ方を指南するおじいちゃん。演じるコノリーさんがハマり役で、「互いに批判し合うのは無駄。最後はどうでもよくなる」という言葉が、見ている私たちの心にも安らぎを与える。舞台となるハイランド地方の美しさも特筆すべき点で、海があり、緑豊かなその風景は癒やし効果抜群。深呼吸せずにいられなかった。10日から角川シネマ新宿(東京都新宿区)ほか全国で順次公開。(りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションを経てフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。