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サン・テグジュペリ不朽の名作「星の王子さま」から生まれた長編アニメーション「リトルプリンス 星の王子さまと私」(マーク・オズボーン監督)が21日から公開される。友達がいない9歳の少女と隣に住むおじいさんとの心の交流と冒険の物語。動く“あの挿し絵の王子さま”にも注目だ。
女の子(声:鈴木梨央さん、マッケンジー・フォイさん)は、お母さん(声:瀬戸朝香さん、レイチェル・マクアダムスさん)と新しい家に引っ越してきた。そこは名門校の学区内。女の子はお母さんの計画した人生設計に従い、分刻みで勉強漬けの毎日を送り、友達もいなかった。隣には古ぼけた家があり、風変わりなおじいさん(声:津川雅彦さん、ジェフ・ブリッジスさん)が住んでいる。ある日、隣から飛んできた紙飛行機を見てみると、そこには物語が書かれてあった。おじいさんはかつて飛行士で、砂漠で小さな王子さまに出会ったという。物語の続きが気になった女の子は、おじいさんの家を訪ねてみると……という展開。
「星の王子さま」の物語を借りながら、美しい映画が誕生した。女の子は、子ども時代の大切な時間を母親に奪われている。そうとも知らず、母親が作ったタイムスケジュールに従って「いい子」として生きている。冒頭から切なくなるが、映画はそんな女の子に初めての友達をプレゼントする。その友達は、風変わりなおじいさんだった。想像すること、誰かを大事に思うこと、そして大切な人を失う時がいつかくるということ……。この映画は、子ども時代に必要なさまざまな経験を教えてくれる。飛行機で冒険するシーンも臨場感たっぷりで、女の子が自力で運命を切り開いていく姿が力強い。現実のシーンがCGアニメーションで描かれる一方で、おじいさんが語る「星の王子さまの世界」は、温かみのあるストップモーションアニメで作られている。赤いバラ園は、ため息が出るほど美しい。「カンフー・パンダ」(2008年)のオズボーン監督の下、約250人のスタッフが集まって作り上げた。音楽は「ライオン・キング」(1994年)で米アカデミー賞作曲賞受賞歴もあり、120本以上の映画音楽を制作した実績のあるハンス・ジマーさん。CGキャラクター監修に、「塔の上のラプンツェル」(2010年)の複雑な髪の毛の監修を手がけた日本人の四角英孝さん。日本語吹き替え版主題歌はシンガー・ソングライターの松任谷由実さんが担当している。21日からTOHOシネマズ六本木ヒルズ(東京都港区)ほかで公開。(キョーコ/フリーライター)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。いまBS12で再放送されている昭和のドラマ「ありがとう」を楽しんでいる。