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注目映画紹介:「ハッピーエンドの選び方」 誰しもに来る人生の最期について笑いと感動で訴える

 人生における“最期の選択”をテーマにした映画「ハッピーエンドの選び方」(シャロン・マイモン監督、タル・グラニット監督)が28日に公開される。発明好きの老人が親友の頼みで、自らスイッチを押して苦しまずに最期が迎えられる装置を開発したことから巻き起こる騒動を描いている。誰しもが直面する「人生の最期の選び方」を扱いながらもユーモラスに、そして感動的に描き、第71回ベネチア国際映画祭観客賞を受賞するなど各国映画祭で話題を呼んだ。

 エルサレムの老人ホームに暮らす発明好きのヨヘスケル(ゼーブ・リバシュさん)は、ある日、望まない延命治療に苦しむ親友マックスから、穏やかな最期が迎えられるような発明をしてほしいと頼まれる。ヨヘスケルは親友を助けたい一心で、妻のレバーナ(レバーナ・フィンケルシュタインさん)に猛反対されながらも、自らスイッチを押して苦しまずに最期を迎える装置を発明。同じホームの仲間たちの助けも借りて計画を準備し、自らの意思で安らかに旅立つマックスを見送った。しかし秘密だったはずのその発明の評判が瞬く間に広がってしまっただけではなく、レバーナに認知症の兆候が出始め……というストーリー。

 今作は誰もがいつしか迎える最期を“どう迎えるか”という普遍的なテーマを描いているが、主人公自らが発明した装置を使って周囲の人たちの最期を演出するという設定が面白い。人の誕生は喜ばしく大切な瞬間なのは分かるが、反対に最期というものはあまり考えないようにして過ごす人は多い。見た人の価値観にもよるのだろうが、今作を見ると最期の瞬間まで大切に、ハッピーに、そして自分らしさというものを追求すべき時代が近づいてきているのでは……と考えさせられる。老いや死といった重い題材なだけに暗くなりがちなストーリーも、登場人物たちの優しさやユーモラスな展開に心が揺さぶられ、泣きそうなのに笑ってしまう。軽さとブラックさが絶妙に配合された今作は、価値観の多様さについて考えさせられる作品だ。28日からシネスイッチ銀座(東京都中央区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

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