あなたにおすすめ
東京国際映画祭:綾瀬はるか、井上真央、米倉涼子がドレスアップ 芳根京子は振り袖、水原希子、河合優実、菊地凛子も
今週末に公開される映画の注目作をピックアップする「今週シネマ」。27日には、グスタフ・クリムトが描いた世界的な名画「黄金のアデーレ」を巡る実話を基にした映画「黄金のアデーレ 名画の帰還」(サイモン・カーティス監督)が公開。28日には、ダンス・ボーカルグループ「EXILE」の黒木啓司さんの初主演映画「クロスロード」(すずきじゅんいち監督)、今年すでに主演作が3作も公開されているニコラス・ケイジさんの主演作「コンテンダー」(オースティン・スターク監督)が公開される。
「黄金のアデーレ 名画の帰還」は、米国で暮らす女性が、“オーストリアのモナリザ”と称される名画「黄金のアデーレ」の返還を求めてオーストリア政府を訴えた裁判と、名画がたどった数奇な運命を描いている。主人公で実在した女性マリア・アルトマンを「クィーン」(2006年)でアカデミー賞主演女優賞を受賞したヘレン・ミレンさんが演じ、ライアン・レイノルズさん、ダニエル・ブリュールさんらが脇を固める。現在は米ニューヨークのノイエ・ガレリエに所蔵されている肖像画をめぐる実話がベース。ミレンさんとレイノルズさんという主要キャストの演技は抜群の安定感で、物語に彩りと深みを与えている。年齢が大きく離れた2人が同じ目的に向かって突き進んでいく姿が痛快だ。
「クロスロード」は、青年海外協力隊が舞台で、同隊に参加した若者たちがその活動を通じて成長していく姿を描く。ボランティア活動に懐疑的ながら秘めた熱い思いを持つ隊員・沢田樹を黒木さん、体より先に頭で考えてしまう隊員・羽村和也を俳優の渡辺大さんが演じ、世界を股にかけるモデルで女優のTAOさんも日本映画初出演。実は詳細はあまり知られていない青年海外協力隊の多岐にわたる活動内容や訓練所の様子、派遣先での生活などが見られるのが興味深い。フィクションでありながらもドキュメンタリー的な要素を随所に漂わせる一方、目標が見えないなどの悩みや葛藤を抱える若者たちの姿など、“青春グラフィティー”を見ているかのような切なさと爽快感も味わえる。
「コンテンダー」は、2010年に起きたメキシコ湾原油流出事故を絡めながら、スキャンダルに沈められた政治家が再起を懸ける様子をスリリングに描き出す。米国最大の環境汚染となった原油掘削施設の爆発事故を踏み台にして、はい上がろうとする政治家の物語で、抑え気味ながら、どん底から野望まで微妙な心理状態を表情で語るケイジさんの演技はさすがの一言。お金による攻防や、政治家の生々しい会話から、「政治家-企業-市民」の関係について考えさせられる場面もある。「イージー・ライダー」(1969年)のピーター・フォンダさんが、父親役で登場。ケイジさん演じる息子と対峙(たいじ)するシーンでは、ピンとした緊張感が楽しめる。
そのほか27日は、不死の新生物と政府の戦いを描いた人気マンガ「亜人」の劇場版アニメ第1部「亜人-衝動-」(瀬下寛之総監督、安藤裕章監督)が公開。28日は、“安芸の小京都”と呼ばれる広島県竹原市を舞台にしたアニメ「たまゆら」シリーズの劇場版アニメ4部作の第3弾「『たまゆら~卒業写真~』第3部 憧-あこがれ-」(佐藤順一監督)、人生における“最期の選択”をテーマにした映画「ハッピーエンドの選び方」(シャロン・マイモン監督、タル・グラニット監督)、アイドルグループ「2PM」のジュノさんが初主演した韓国の青春グラフィティー映画「二十歳」(イ・ビョンホン監督)が公開される。