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女性ファッション誌「non-no(ノンノ)」(集英社)の専属モデルの新木優子さんが、連続ドラマ「いつかティファニーで朝食を」(日本テレビ系、日曜深夜1時25分)、「監獄学園 プリズンスクール」(MBS・日曜深夜0時50分、TBS・火曜深夜1時11分)と2本の連続ドラマに出演している。さらに映画「風のたより」(12月19日公開)で初主演を務めるなど女優として活躍の場を広げている新木さんに、ドラマや映画での演技について聞いた。
◇モデルと女優それぞれから刺激
新木さんは今年5月に結婚情報誌「ゼクシィ」(リクルート)の8代目CMガールに選ばれて注目を集めたほか、8月に公開された映画「家族ごっこ」に出演。モデルや女優として活動する新木さんだが、芸能界入りのきっかけは小学生のときにスカウトされたことだった。だが、「声を掛けていただくまでは(芸能界には)興味がなかったんです」といい、「そんなにたくさんの人ができる仕事ではないとは分かっていたので、自分に可能性があるのであればやってみたいと思いました」と当時の心境を振り返る。
10代の頃は同じ所属事務所のアイドルグループ「ももいろクローバーZ」とともにレッスンを受けたこともあるという新木さんは、14歳で映画に初出演。「初めて出させていただいた作品もすごく勉強になり、それもきっかけだったのですが、自分じゃない誰かになったり、(自分とは)違う職業にもなれるというのがすごく魅力的」と女優業の楽しさを語る。そして、「演じることが楽しいという気持ちが、どんどん増してきました」と目を輝かせる。
新木さんは14年から「non-no」で専属モデルを務めているが、女優とモデルについて「別の仕事としてとらえていて、女優は女優のお仕事、モデルはモデルのお仕事と切り替えはするようにしています」と自身のスタンスを説明する。2種類の活動を行うことで「生かせる部分といえば精神面」と切り出し、「モデルであれば洋服を美しく見せる、女優のお仕事は自分の中に役を入れ込んでお仕事させていただくというところで、まったく別のもの」と自身の考えを語り、「どちらも勉強になります」と相互作用があるという。
◇10月期の連続ドラマ2作に出演
2015年は多数のCM出演のほか、10月から放送が始まった2本の連続ドラマにも出演している。人気グルメマンガが原作でトリンドル玲奈さんが主演するドラマ「いつかティファニーで朝食を」で、新木さんは主人公・佐藤麻里子(トリンドルさん)の友人・新井里沙を演じている。ほかに森カンナさん、徳永えりさんと同級生役だが、撮影現場では「私が(4人の中で)最年少なので、現場ではちょっと緊張も……」と語るも、「和気あいあいと楽しく撮影させていただきました」と笑顔を見せる。
ドラマは1話ごとに新木さんらが演じる4人それぞれにスポットを当てたエピソードが展開される。「里沙にもスポットが当たる回もありますが、“朝食を”と題名にもある通り、登場人物みんなにいろいろなストーリーがあり、みんな朝食を食べて元気になっている」と説明し、「4人の女の子たちがそれぞれ人生をどう生きていくかというのが描かれていて、きっと共感していただけるのでは」と力を込める。
タイトルにもある朝食について、「大学に通っているときは大学に朝から行かないといけないので食べることが多いのですが、普段は朝食よりもどちらかというと睡眠をとってしまいます……」と新木さんは苦笑い。「ドラマをきっかけに、朝食を自分で作ったり食べる機会ができればいいなと思います」と話し、「ご飯の大切さや朝食をとることの大切さを楽しみながら見ていただき、そこに恋愛や友だち関係といったスパイスも加わってくるので、そういう部分も楽しんで見てほしい」と見どころを語った。
◇役作りも生かす“人間観察”という趣味
10月クールのもう1本の出演ドラマである「監獄学園 プリズンスクール」は、平本アキラさんの人気マンガが原作で、共学になった元女子高を舞台に、男子生徒5人の“天国と地獄”の学園生活を描いたセクシーコメディー。「まさかこれが実写化というのにはびっくりしました」と驚く新木さんが演じるのは、主人公たちが通う私立八光学園の2年生・杏子で、矢野聖人さん扮(ふん)するシンゴが憧れる先輩という役どころだ。
自身が演じる杏子について、「杏子という女の子が『監獄学園』の中で一番、等身大の女の子に近いなととらえています」と人物像を語り、「学生生活の中では、部活や先輩・後輩といった“縦社会”がいろいろありますが、ドラマではそれが“裏生徒会”というもので、杏子はそこに入りたいし、入るのであればどうせなら上位にいたい」と役柄の心情を代弁する。続けて、「自分の学生生活でも似たようなことがあったので、すごく等身大だなと」と新木さんは共感し、「男の子に情が湧くことで裏切ってしまうとかも、等身大の女の子らしいと思う」と分析する。
役作りでは「台本を読み込むこと」を大事にしているというが、「普段から人間観察をよくしているのですが、人間観察をする中で、この人はあの役に近いんじゃないかなという想像をふくらませるということをしているのは大きい」と役作りの一端を明かす。2本のドラマでは20代後半の女性と女子高生を演じ分けているが、「高校生と28歳の女性(の役を演じる期間)がかぶらなくてよかったという思いはあります(笑い)」と新木さんは謙遜する。
実年齢よりも上の世代を演じることは難しいというが、「自分が中学生のときに、高校生はすごく大人っぽいとか大学生はどんななのだろうと思っていましたが、(自分がその年齢に)なってみると、そんなに変化がないということに気付きました」と振り返り、「年を重ねたり、いろんな人に出会ったりして変わる部分もあるとは思いますが、根本的な部分は変わらないのではと感じたので、あまり気にしすぎず演技することにしています」と自然体で演じている。
◇時代劇への出演に意欲
多彩な役を演じる新木さんだが、12月に公開される主演映画では、自身とは正反対の性格だというネガティブな女の子・くるみを演じている。「すごくありがたいと思う一方で重みも感じましたし、いい作品を作っていきたいと気が引きしまりました」と主演が決まった時の心境を打ち明ける。そして「今まで経験したお仕事や、演じた役などでコツコツと積み重なってきたものが、(今回の役作りに)役立っていると思います」と感謝する。
20代女性のくるみを演じるにあたって新木さんは、「オリジナルの脚本がない映画なので、(人物の)背景を想像しながらやりました」と自分で役のイメージを作り、「(自分と演じた役の)年代が一緒だったので、自分と照らし合わせてということが多かった」と振り返る。映画では、くるみの祖父・健を演じる大杉漣さんと共演しているが、「(大杉さんをはじめ)皆さん魅力的な俳優さん、女優さんばかりで、すごく勉強になりました」と充実感をにじませる。
映画の見どころについて、「いつも『どうせ……』と言ってあきらめてしまう女の子が前向きに変わっていくという物語なので、誰にでもあり得る」と世界観を説明し、「今まで後ろ向きに生きてきたくるみと同じぐらいの年代の女の子たちに見てもらえれば、すごく共感してもらえるだろうし、頑張ろうと思える作品になっているのではと思います」と力を込める。
今後挑戦してみたいことは、「時代劇」という新木さん。「モデルのお仕事で着物を着させていただく機会が多く、(着物を)着ていると日本の女性は歴史もあるし、素晴らしいなと思うし、当時の女性の強さなどを感じるので、そういう女性を演じられたらすてきだなと思います」と目を輝かせた。
<プロフィル>
1993年12月15日生まれ、東京都出身。小学生の頃にスカウトされ芸能界へ。2014年にファッション誌「non-no」の専属モデルとなる。女優としてもドラマや映画、CMなどで活躍。主な出演作にドラマ「ドラゴン青年団」(TBS系)、映画「スクールガール・コンプレックス~放送部篇~」(13年)、「ゆるせない、逢いたい」(13年)、「家族ごっこ」(15年)などがある。
(インタビュー・文・撮影:遠藤政樹)