映画「ベテラン」のワンシーン (C)2015 CJ E&M Corporation,All Rights Reserved
韓国で今年8月に公開されるや、歴代3位の大ヒット作となった「ベテラン」(リュ・スンワン監督)が12日に公開される。韓国歴代2位の興行成績を持つ「国際市場で逢いましょう」(2014年)で家族思いの父を好演したファン・ジョンミンさんが、男気あふれる熱血刑事に扮(ふん)しており、最近見た勧善懲悪ものの中で一番に挙げたいほど、スカッと胸のすく痛快劇に仕上がっている。
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ソウル警視庁の広域捜査隊に所属するソ・ドチョル(ジョンミンさん)は、正義感の強いベテラン刑事。日夜チームのメンバーとともに、犯罪の撲滅に取り組んでいる。そんな中、かつて世話になったトラック運転手が、雇い主を訪ねた直後、自殺を図り病院に運ばれたことを知る。不審を抱き調べ始めたドチョルは、この件に巨大財閥シンジン・グループの御曹司で悪名高きチョ・テオ(ユ・アインさん)が絡んでいることを突き止める……というストーリー。
とにかく、ジョンミンさんが演じるドチョルがカッコいい。直情的だが人情に厚く、悪者に食らいついたら離れない正真正銘のヒーローを、スマート過ぎず、泥くさ過ぎず、絶妙なさじ加減で演じ、ベテラン俳優の心意気を見せる。対するテオ役のアインさんは、「アンティーク~西洋骨董洋菓子店」(08年)での見習いパティシエ役がうそのような、胸クソが悪くなるほどのバカ息子を、爽やかな顔にいやらしい笑みを張り付け、腸が煮え返るほどの悪人になり切って演じていて、こちらもお見事。さらに、ほくろがトレードマーク(?)のオ・ダルスさんも、ドチョルの部下思いの上司に扮し、失礼ながら今回ばかりはとびっきりいい男に見えた。
我が身可愛さで、大企業という“聖域”に足を踏み入れたがらない上層部の思惑を跳ね飛ばし、果敢に挑んでいくドチョルたち。企業側のもみ消し工作、捜査妨害に屈することなく、正義感を盾に突き進む彼らのカッコ良さといったらない。明洞の中心部で撮影されたというカーチェイスとバトルが、これまた手に汗握るもので、クライマックスにふさわしいハラハラ感を味わわせてくれる。チームの紅一点ミス・ボンを演じるチャン・ユンジュさんは、世界を舞台に活躍するモデルで、今作がスクリーンデビューだという。彼女の今後の活躍も見逃せない。12日よりシネマート新宿(東京都新宿区)ほか全国で順次公開。(りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションを経てフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。
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