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スペイン・バルセロナのユネスコ世界文化遺産である、アントニ・ガウディによる建築物サグラダ・ファミリアを語ったドキュメンタリー作「創造と神秘のサグラダ・ファミリア」(ステファン・ハウプト監督)が12日から公開される。作業に携わる主任建築家や彫刻家、現場の技術者らのインタビューから、ガウディの遺産を引き継ぐ人々の思いに触れる。
サグラダ・ファミリアは、19世紀の社会不安から教会の力が弱まっていた1882年に着工した教会建築物。1883年に初代が辞任すると、カタルーニャ出身の31歳だったガウディが、2代目建築家に就任。1926年に事故で亡くなった後、36年の内戦で模型などの資料が燃え、64年にはル・コルビュジエら著名な芸術家や知識人による工事中止の声明文が発表された。さまざまな浮き沈みの中、着工から約130年たった今もプロジェクトが続いている。その秘密に迫る……という内容だ。
観光地として有名なバルセロナのサグラダ・ファミリア。空に向かって突き出す外観から、なかなか見られない建設中の内部にもカメラは入り込む。ガウディが影響されたカタルーニャの自然にも触れ、世紀をまたいだプロジェクトをどんな人が引き継いでいるのかを見せていく。共通して「天才ガウディから継いでいる」という誇りが、彼らを突き動かしているのは間違いない。彫刻の形についての論争があったり、中止でいいじゃないかという意見さえも出るが、どうやらそれはそれぞれの“ガウディ愛”によるようだ。インタビューには、主任建築家、現場監督、日本人彫刻家の外尾悦郎さんらが登場。ガウディ没後100周年の2026年の完成を目指しているが、完成はあくまでも「神のご遺志」だという。ローマ法王訪問の様子を取り入れて、教会建築物としての宗教性も盛り込んでいる。
最先端のIT技術で作業が早まった一方で、真下を通る高速鉄道のためのトンネル工事といった問題も浮上。さまざまな歴史を乗り越えながら、植物のように天に向かって伸びていく建築物からは、生と死が混然となった不思議な印象と創造への営みに畏敬の念を抱いた。12日から恵比須ガーデンシネマ(東京都渋谷区)ほかで公開。(キョーコ/フリーライター)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。子どものころ「サグラダ・ファミリア」って、なんだか楽しい家族のことだと思ってました。