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第26回山本周五郎賞を受賞した小野不由美さんの小説「残穢」が原作の映画「残穢(ざんえ)-住んではいけない部屋-」(中村義洋監督)が30日に公開される。ミステリー小説家が奇妙な音がするという部屋に住む読者の女子大生から手紙を受け取ったことをきっかけに、2人で原因を調査すると驚きの真実が明らかになる……というストーリー。ミステリー小説家である「私」を女優の竹内結子さん、女子大生の久保さんを橋本愛さんが演じて初共演しているほか、佐々木蔵之介さん、坂口健太郎さん、滝藤賢一さんらが顔をそろえている。
小説家である「私」(竹内さん)の元に、読者で女子大生の久保さん(橋本さん)から「住んでいる部屋で奇妙な音がする」と書かれた手紙が届く。好奇心に誘われて調査を始めると、マンションの過去の住人たちが引っ越し先で、自殺や心中、殺人といった事件を引き起こしていたことを知る。さらに調査を進めていくと、やがて驚きの真実にたどり着く……という展開。
今作のメガホンをとった中村監督は、「アヒルと鴨のコインロッカー」(2007年)や「ゴールデンスランバー」(10年)、「白ゆき姫殺人事件」(14年)、「予告犯」(15年)などを手がけたことで知られ、一見するとホラーとは縁遠いような印象を受けるが、オリジナルビデオ「ほんとにあった! 呪いのビデオ」などを手がけ、恐怖にまつわる演出には定評がある。そんな中村監督が久々に撮ったホラー映画は、随所に挿入される回想や恐怖エピソードの再現シーンが恐怖をあおり、正攻法のストレートな表現で観客を怖がらせる。物語はミステリー要素が濃い印象だが、怪奇現象の原因をたどっていき次々と謎が明らかにされていく展開には、恐怖だけでなく謎を解き明かす爽快さすら感じる。見終わったあと、一人でいる部屋の中での音や闇を想像すると恐怖感がじわじわと広がり、“住んでいい部屋”なんて本当にあるのかとまで考えてしまった。30日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。