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注目映画紹介:「ザ・ブリザード」 米国沿岸警備隊の決死の救助活動を実話に基づいて映画化

 真冬の大西洋で実際に起きた大型タンカーの遭難事故とその救出劇を、「スター・トレック」(2009年)などの作品で知られるクリス・パインさん主演で映画化した「ザ・ブリザード」(クレイグ・ギレスピー監督)が27日から公開される。真冬の嵐“ブリザード”の中、決死の覚悟で生存者の救出に向かった米国沿岸警備隊の活躍が、手に汗握る映像とともに描かれている。

 1952年、米マサチューセッツ州ケープコッド沖で、補修したばかりの大型タンカーが最大級のブリザードに巻き込まれた。船体は真っ二つに割れ、船長がいる船首は海底に沈んだ。残った船体に生存者は32人。1等機関士のレイモンド・シーバート(ケイシー・アフレックさん)は、救助が来るまでの間、なんとか船体を持ちこたえさせようとする。そのころ、米国沿岸警備隊チャタム支局では、1等水兵のバーニー・ウェバー(パインさん)ら4人が、新任のダニエル・クラフ司令官(エリック・バナさん)の命令で、タンカーの救助に向かうことに。しかしこの悪天候の中、木製の小型救助艇で海に出るのは自殺行為に等しかった……という展開。

 バーニーが乗るのは定員12人の小型救助艇。恐ろしく小さい。こんな小舟で救えるのか? そんな不安を増幅させるように、スクリーンの中では暴風雪が吹き荒れ、高波が押し寄せ、さらに水しぶきがバーニーら救助艇の男たちの顔に吹きかかり、臨場感満点で、まるでその場に居合わせているような気にさせられる。その一方で、今にも沈みそうなタンカー内では、乗組員たちの必死の生き残り作戦が繰り広げられていく。一つ壁を乗り越えると、また別の壁が立ちはだかり……と、終始緊張をしいられ、お陰で見終えたときには疲労こんぱいしていた。これが実話というからおそれ入る。

 演じる俳優に目を転じれば、パインさんが珍しく“慎重派”の若者に扮(ふん)し、かたや大型タンカーの乗組員シーバート役のアフレックさんは、これまで多かった“主役の引き立て役”とは打って変わり、今回は正真正銘のヒーローを好演している。ともにそれぞれ魅力はあるが、個人的にはアフレックさんに軍配が上がる。なお、当時、救命任務に関わった沿岸警備隊員2人が製作に協力し、また、バーニーが艇長を務めた本物の救助艇が撮影の一部で使用されたという。27日からTOHOシネマズ日本橋(東京都中央区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)

 <プロフィル>

 りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションを経てフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。

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